HVハッチバック乗り比べ ホンダ・シビック トヨタ・カローラ 半世紀の進化の現在地 後編

公開 : 2022.12.10 09:46

約50年の進化を重ねてきたシビックとカローラ。2台のCセグメント・ハッチバックの特徴を、英国編集部が確認しました。

シビックの強みといえるインテリア

11代目ホンダ・シビックで、明確な強みといえるのがインテリア。トヨタカローラ(カローラ・スポーツ)の内装には、ローコスト感が漂っている。従来の日本車のイメージより質感は高く、堅牢そうでもあるが、シビックの方がよりソリッドだ。

ダッシュボード前面で水平に伸びる格子状のエアコンの送風口や、随所に用いられたクロームメッキ・トリム、センターコンソールのテクスチャなど仕上がりは良い。デザインも凝っている。

ブルーのホンダ・シビック e:HEVとホワイトのトヨタ・カローラ(カローラ・スポーツ)2.0ハイブリッド
ブルーのホンダ・シビック e:HEVとホワイトのトヨタ・カローラ(カローラ・スポーツ)2.0ハイブリッド

どちらにもエアコンには実際に押せるハードスイッチが与えられ、使い勝手には優れる。それでも、部品の質感はシビックの方が有利なようだ。

インフォテイメント・システムは、トヨタもホンダも扱いやすくなった。過去のシステムは褒められるものではなかったから、訴求力を高めるポイントになっている。

ただし、シビックには新世代のソフトウエアが実装されているものの、称賛するほどの完成度ではない。タッチモニターの解像度が高いとはいえず、英国仕様の場合、ナビの見た目はもう少し洗練させたいところ。

カローラのタッチモニターは高精細でインターフェイスも好印象だが、シビックには備わる便利なホームボタンとバックボタンがない。トヨタ独自のシステムと、スマートフォンとのミラーリングを切り替えるのも少し面倒に感じられた。

購買層の重複が生み出す近似性

ファミリー・ハッチバックとして重視される車内空間は、ボディサイズの大きいシビックの方が有利。荷室は100L近く大きく、形状も使い勝手が良さそう。

リアシート側は膝前にゆとりがあり、パノラミックサンルーフを装備した状態だとしても、頭上にも窮屈さはない。大人でも快適に長時間過ごせそうだ。

ブルーのホンダ・シビック e:HEVとホワイトのトヨタ・カローラ(カローラ・スポーツ)2.0ハイブリッド
ブルーのホンダ・シビック e:HEVとホワイトのトヨタ・カローラ(カローラ・スポーツ)2.0ハイブリッド

反面、カローラで実用性を重視するなら、ステーションワゴンのカローラ・ツーリングという選択肢がある。荷室はシビックより160L大きく、ホイールベースも長いためリアシート側の空間も広い。シビックにはステーションワゴンの設定がない。

一般的な比較試乗では互いの違いをあぶり出し、ターゲットの違いへ迫ることが多い。だが、カローラとシビックの場合は違う。どちらも購買層は重複しており、結果としてかなり近似したモデルに仕上がっている。

シビックの方がインテリアは上質で、車内も広々としており、英国価格は約1500ポンド(約25万円)ほどお手頃。とはいえ、残価設定プランの月額に目立った差はない。

現行型のカローラは登場から数年が経過し、信頼性が裏付けられている。2.0L版よりお手頃な1.8Lハイブリッドも選べるし、ステーションワゴンも用意されている。2台とも訴求力は高い。

2.0Lのハイブリッド・ハッチバック比較となった今回は、実用性やインテリア、僅かに勝る標準装備などを理由に、軍配はシビックへ挙げられる。とはいえ、その差は極めて小さい。2023年版カローラとの比較なら、どんな結果になっただろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    トニー・ベイカー

    Tony Baker

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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