HVハッチバック乗り比べ ホンダ・シビック トヨタ・カローラ 半世紀の進化の現在地 後編

公開 : 2022.12.10 09:46

番外編:知的な両社のハイブリッド

トヨタカローラホンダシビックには、電気式無段変速機(e-CVT)と呼ばれるトランスミッションが搭載されている。しかし、お互いの機構は大きく異なり、ベルト駆動の従来のCVTとも違っている。

FFのトランスアクスル構造で、複雑に組み合わされたギアを備えることは共通。内燃エンジンと駆動用モーターが生み出すパワーを、シームレスにタイヤへ伝達することを可能としている。

ホンダ・シビック e:HEV(英国仕様)
ホンダ・シビック e:HEV(英国仕様)

ここで英国編集部が注目したいのが、システム総合で183psというシビックの最高出力が、駆動用モーターの最高出力と同値なこと。市街地などの低速域では、駆動用モーターが専ら走りを担っている。

エンジンは発電に徹し、駆動用モーターへ電気を供給しつつ、小さな駆動用バッテリーの充電を担当する。走行スピードに関係なく回転できるため、ソフトウエアの制御で多段ATのようなフィーリングを生み出している。

高速域など負荷が高まると、クラッチが繋がりオーバードライブ・ギアを介してエンジンの駆動力がタイヤへ伝わる。速度が高い状態では、モーターへ電気を供給するより、エンジンで走った方がエネルギー効率に優れるためだ。

カローラのハイブリッドは、内燃エンジンに大小2基の電気モーターが組み合わされ、プラネタリギヤと繋がっている。複数組み合わされたギアの回転を無段階に調整することで、エンジンのCVTとして機能。エンジンは小さなモーターを回して発電することもできる。

一方、大きな方は駆動用モーターで、中間ギアを介して直接パワーをタイヤに伝達する。どちらも複雑なシステムだ。

ホンダ・シビックとトヨタ・カローラのスペック

ホンダ・シビック e:HEV(英国仕様)

英国価格:3万3820ポンド(約561万円/試乗車)
全長:4550mm
全幅:1800mm
全高:1415mm
最高速度:178km/h
0-100km/h加速:8.1秒
燃費:20.0km/L
CO2排出量:114g/km
車両重量:1533kg
パワートレイン:直列4気筒1993cc自然吸気+ツイン電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:183ps(システム総合)
最大トルク:32.0kg-m(システム総合)
ギアボックス:e-CVT

トヨタ・カローラ(カローラ・スポーツ)2.0ハイブリッド(英国仕様)

英国価格:3万5375ポンド(約587万円/試乗車)
全長:4370mm
全幅:1790mm
全高:1435mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:7.9秒
燃費:18.9km/L
CO2排出量:119g/km
車両重量:1510kg
パワートレイン:直列4気筒1987cc自然吸気+ツイン電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:183ps(システム総合)
最大トルク:−
ギアボックス:e-CVT

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    トニー・ベイカー

    Tony Baker

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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