世代交代しても1番イイ ホンダ・シビック・タイプRへ英国試乗 熟成された能力 後編

公開 : 2022.12.02 08:26

世代交代を経ても頂点の地位は譲らない

かといって、四輪駆動のフォルクスワーゲン・ゴルフRとも異なる。こちらも充足感は高いものの、感覚は淡白で、コーナーでの調整域はさほど広くない。アンダーステアに転じやすく、路面コンディションが悪化すると扱いが難しくなる。

シビック・タイプRなら、フロントタイヤの仕事ぶりを正確に掴める。ウェットコンディションのサーキットでは、ブレーキペダルを踏んだりアクセルペダルを緩めれば、リアタイヤの自由度が増す。懐かしいホットハッチのように。

ホンダ・シビック・タイプR(欧州仕様)
ホンダ・シビック・タイプR(欧州仕様)

ドライバーがクルマとコミュニケーションを取りながら、自在にラインを選んでいける。フォードのSTやルノーのRSにも通じる特長といえる。

最後になったが、ディスクブレーキは強力に効く。6速MTのフィーリングも素晴らしい。

最高のホットハッチたらしめる要素のすべてが、FL5型にもしっかり受け継がれている。しかも、さらに磨かれ強化されている。蛇足だが、ひと回り小さなサイズで最高のホットハッチに選ばれるのは、トヨタGRヤリスだ。

前世代のホンダ・シビック・タイプRは、モデルライフの最後まで王者に君臨していた。最新版は、それよりさらに優れている。世代交代を経ても、頂点の地位を譲ることはなかったようだ。惜しむべきは、その高い英国価格だけといえそうだ。

ホンダ・シビック・タイプR(欧州仕様)のスペック

英国価格:4万6995ポンド(約780万円)
全長:4595mm
全幅:1890mm
全高:1405mm
最高速度:275km/h
0-100km/h加速:5.4秒
燃費:12.2km/L
CO2排出量:186g/km
車両重量:1429kg
パワートレイン:直列4気筒1996ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:330ps/6500rpm
最大トルク:42.7kg-m/2200rpm
ギアボックス:6速マニュアル

記事に関わった人々

  • マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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