陶酔のドライビング体験 BMW M2(F87型) 英国版中古車ガイド 狙い目はコンペティション
公開 : 2022.12.13 08:25
ドリフト自在のハンドリング・クーペ、F87型M2。コンペティション、CSへと進化した初代の魅力を、英国編集部が振り返ります。
もくじ
ーコンペティションとCSへ進化したM2
ーM3譲りの3.0L直6ツインターボを獲得
ー極上といえる陶酔性あるドライビング体験
ートリムグレードとスペック
ー知っておくべきこと
ー購入時に気をつけたいポイント
ー英国編集部の推しチョイス
コンペティションとCSへ進化したM2
BMW M2はタイムマシンのようなスポーツカーかもしれない。大型化していく近年のクルマにあって、小さく軽かった。価格も、もう少し近づきやすいものだった。成功といえる結果に結びついても不思議ではなかった。
F87型M2の前身となるE82型の1Mクーペで、BMWはこのコンセプトに対する市場の反応を掴んでいた。僅かにボディサイズは大きくなっていたものの、明らかにその後継モデルといえる位置づけにあった。
市場限定だった1Mは、英国では450台しか販売されず、日本には正規導入すらされていない。しかし、初代M2は2000台がグレートブリテン島に上陸。コンペティションとCSへ進化を続け、さらに多くのドライバーのもとへ渡った。日本でも販売されている。
2016年に登場したオリジナルのM2には3.0L直列6気筒ターボエンジンが搭載され、最高出力は370psを誇った。格下の、M135i用ユニットの改良版ではあったけれど。0-100km/h加速は、7速デュアルクラッチATで4.2秒、6速MTでは4.4秒がうたわれた。
最大トルクの50.9kg-mは1400rpmという低い回転域から生み出され、胸のすくような走りが常時可能。ドライバーの気分次第で、カーブではテールスライドに興じることも難しくなかった。
M3譲りの3.0L直6ツインターボを獲得
M2最大の特長といえるのが、正確性に優れ落ち着いた操縦性。腕利きのドライバーが操れば、驚くほどの速さを披露した。実際、ドイツのホッケンハイム・サーキットでは、当時のBMW M3やM4のラップタイムを破っている。
これはボディをコンパクトにし、車重を軽くすることで得られる対価だった。オリジナルのM2の全長は4468mm、車重は1575kgだ。
2018年に、M2 コンペティションへバージョンアップ。さらにシリアスな能力を獲得している。こちらに搭載されたのは、M3譲りの3.0L直列6気筒ツインターボで、最高出力は409psへ上昇している。
ボディシェルにはカーボンファイバー製のフロントストラット・ブレースとバルクヘッド・ブレースが追加され剛性をプラス。より高精細な操縦性を叶えていた。アルミホイールは18インチから19インチへサイズアップし、車高も落とされている。
オリジナルのM2と比較し、コンペティションはすべてにおいて磨きが掛けられていた。しかし、ドライバーが手懐けるような荒々しさは鎮められ、スリリングさでは劣ると感じる人もいるかもしれない。
2020年にはM2 CSが登場。最終仕様として、最高出力は450psへ引き上げられている。トランスミッションのギア比にも調整を受け、コンペティションよりエネルギッシュさでは数段上。驚くほどの勢いでスピードを高めていける。