ホンダ・フィットRS なぜ走りが心地いい? ハンドリング/足さばき/ドライブモードの注目点とは
公開 : 2022.12.06 12:03
「タイプR」的な特性とは?
RSのハイライトがフットワークである。
標準系に対してバネやダンパーを硬めて云々というレベルではない進化がそこにあった。
肌触りレベルの操縦感覚や乗り心地まで違っていたので、開発者にブッシュなどのチューニングや新型ダンパーでも使用しているのか尋ねたが、バネとダンパーの変更のみ。ただ、ダンパーのチューンは周波数感応特性として相当練り込んだとのこと。
短いストロークでは抵抗感少なく、深くストロークすれば“粘り腰”で受け止める。しなやかな往なしと強靭な抑えが、短いストロークの中に綺麗な連携を以て備わっている。
ハンドリングでは、過敏な反応を抑えながら滑らかなラインコントロール性を発揮する。
ちょっと深めの舵角を与えて思ったとおりのラインをキープ。減速してラインを絞るときも回頭は最小の挙動で済ます。
ハンドリングの大まかな特性を書き出すとまるでシビック・タイプRのようだが、操縦性に関する考え方はほぼ共通している。御しやすさと安心感と心地よさの三拍子揃えなのだ。
RS以外のモデル どう変わった?
RSはこういったフットワークなので乗り心地も良好。個人的にはこれを標準設定にしてもいいとおもえたほど。
タウンユースを中心とした用途では多少引き締まった印象を受けるが、ツーリング用途中心ならば標準サス以上に良質な乗り心地を示す。
RS以外のe:HEV車のサスは、チューニング共々従来型を踏襲。
日常域の乗り心地と山岳路・高速域での安定性をバランスさせたタイプ。タウン&ファミリー向けには堅実な特性だが、RSと比べると世代的に古いような印象を受ける。
操縦性は深めの舵角で穏やかなラインコントロール性を示す。RSと同系の特性とも言えるが、舵角変化や加減速時に回頭が微妙に揺れる。
よく言えば軽快な印象だが、微小な領域での据わりのあまさが安心感を損ねる。
マイチェン版フィットの持ち味
乗り心地も同様で車軸まわりの揺動感など細かく忙しい揺れが気になる。
どちらかといえばRSのフットワークが車格を超えていると言うほうが正しいのだろうが、直接乗り比べるとRSのような「新世代フットワーク」という印象はなく、車格相応プラスαくらい。
動力性能関連は、スポーツモードの設定や減速セレクターがない以外はRSと変わらない。
エンジンの稼働頻度は高めだが、多くの状況で自然なコントロールと速度維持がしやすい特性。
エンジン稼働中のドライブフィールもいい。ドライバーの運転ストレスが少ないタイプだ。