ランボルギーニのEV いかにして「夢」を守るのか? 電動化時代の責任とは

公開 : 2022.12.07 19:05

ランボルギーニの社会的責任

――ランボルギーニの販売台数のピークは、理想としてはどの程度でしょうか?

「それはセグメントによって異なります。SUVなどのセグメントでは、たとえトップエンドであっても、市場がより大きくなることは明らかです。しかし、販売台数を需要よりも少なくするということには、常に注意を払わなければなりません。残存価値を意識する必要があるのです。今、ランボルギーニを新車で買うとしたら、最低でも18か月は待たないといけない。中古車ですぐに買おうとすると、定価よりも高い金額を支払わなければなりません」

「そのため、常に増え続ける世界の富と、クルマの生産台数とのバランスが必要です。もう1つ重要なのは、わたし達のビジネスは、ファッション、時計、宝飾品などの他の贅沢品やアクセサリーよりもはるかに資本集約型であるということです。技術革新のスピードは、数十年前には考えられなかったほど速いので、わたし達は岩のように堅実でなければなりません。そして、市場の要求と、将来への再投資の必要性とのバランスを常に考えなければならないのです。ウルスもそうして生まれたものの1つで、スーパースポーツカーというコアから成長し、ブランドの価値を希薄にしないように設計されています」

ランボルギーニとその顧客には、「社会的責任」があるとCEOは語る。
ランボルギーニとその顧客には、「社会的責任」があるとCEOは語る。

「具体的な数字は、常に変化していくものなので、申し上げられません。また、4番目のモデルを手に入れたら、さらに上昇するでしょう」

――ランボルギーニとVWグループの他社との関係はどのようなものでしょうか?

「メリットがあるので、関係は良好だと思います。将来は、さらにソフトウェアが重要になり、すべてがデジタル化されるでしょう。そのとき、わたし達は、市場が要求する品質と量に対応するために、同規模の企業よりも大きなアドバンテージを持つことになるでしょう」

――現在、多くの人々が家計難に苦しんでいますが、ランボルギーニがこのような高価なクルマを販売することに問題はないのでしょうか?

「わたし達も危機と無縁ではありません。経済的な理由で従業員を解雇しなければならない企業家が、ランボルギーニのようなクルマに乗りたがっているというのは、社会的責任の問題でもあるのです。パンデミックの後、爆発的に売れ、誰もが高級車ブランドを求めたときと同じように、まだその終わりを迎えてはいません。毎月、納車可能台数よりも販売台数の方が多いので、受注残は増えていく一方です。必ず転機が訪れるはずです」

――今、世界中の社会は、派手な富や環境といったものに大きな関心を寄せています。ランボルギーニにとって、それは将来的にリスクとなり得るでしょうか?

「これは、当社と顧客の責任です。わたし達は常に時代の波に先んじなければならないのですから。したがって、サステナビリティとパフォーマンスが成功の鍵となります。正直なところ、サステナビリティに関する議論は非常に感情的です。毎年7000万台以上のクルマが売れている世界で、わたし達が販売するの1万台にも満たない。しかし、わたし達の存在感は非常に大きいのです。だから、細心の注意を払う必要があります。そのため、サンタアガタの工場ではすでにCO2ニュートラルにすることを始めています」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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