誰も知らない80年代の名車 39選 前編 マイナー過ぎてついていけない無名のクルマたち

公開 : 2022.12.10 18:05

シボレー・サイテーションX-11(1980年)

シボレーにとってX-11は、ボルボにとってのポールスターと同じような存在である。レア車を目指すつもりはさらさらなかったはずだが、154万台が売れた普通のシボレー・サイテーションのうち、X-11は2万台に過ぎない。

X-11は、2.8L V6エンジンを搭載し、ボンネットを膨らませてスポーツ性を高めたパフォーマンスモデルである。1982年と1984年に開催されたコンペティションでシボレーを優勝に導くなど、輝かしい経歴を持つ。

シボレー・サイテーションX-11(1980年)
シボレー・サイテーションX-11(1980年)

ダッジ・ミラーダ(1980年)

V8エンジンとホワイトウォールタイヤのために生まれたミラーダほど、80年代のシックさを表現するものはない。このクルマは、高速道路を快適に走るクルーザーとしては理想的だったが、開発時に欲張ってスポーツ性を持たせようとした。

そのため、スポーツカーとしての性能の低さとバランスの悪さが不評を買い、大きな問題となった。販売は3年間でわずか5万2000台と、ライバル車と比べると微々たるものであった。しかし、米国の自動車業界における教訓として、今も語り継がれている。

ダッジ・ミラーダ(1980年)
ダッジ・ミラーダ(1980年)

AMCイーグル・カムバック(1981年)

ニッチな分野では、とても奇妙な創造物が生まれる。リライアント・ロビン然り、メルセデスR 63然り。そして米国では、AMCイーグル・カムバックがニッチの中のニッチとなった。現代のクロスオーバー車の先駆けと言えるモデルで、画期的な四輪駆動システムを搭載したコンパクトカーである。

四輪駆動と後輪駆動を切り替えることができるのだが、その操作のためにわざわざ停車する必要があり、初めてクルマを購入する人や仕事で使う人にとっては、とても不便なものだった。発売初年度は3万4千台とまずまずの勢いを見せたが、売上はわずか1年で減少してしまう。どのニッチ分野にも言えることだが、ニッチなクルマは消滅してから面白くなるのだ。

AMCイーグル・カムバック(1981年)
AMCイーグル・カムバック(1981年)

ジープCJ-8スクランブラー(1981年)

ジープCJ-8スクランブラーは、CJ-7のホイールベースを10インチ長くしたモデルである。CJ-7の伝説的なオフロード性能はそのままに、このセグメントではまだ珍しかったレジャー志向のモデルとして登場した。

積載能力と走破性の高さが評価されたのか、アラスカの郵便局にも採用されたが、こちらはピックアップではなくハードトップ仕様となっていたようだ。ジープのピックアップトラックは、2019年のグラディエーターの登場で復活を遂げる。

ジープCJ-8スクランブラー(1981年)
ジープCJ-8スクランブラー(1981年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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