誰も知らない80年代の名車 39選 前編 マイナー過ぎてついていけない無名のクルマたち

公開 : 2022.12.10 18:05

マーコス・マンチュラ(1983年)

マーコスはどれも希少なマシンばかりだが、いずれも忠実なファンを獲得している。しかし、マンチュラやその派生モデルであるマンタラ、マンタレイは、あまりにもスルーされ過ぎている。同じローバーV8エンジンを推進力に、TVRのようなスリルを味わえるのに、残念なことだ。

マンチュラは完成車とキットカーが販売され、ボディ、シャシー、駆動部品は非常によくできていたにもかかわらず、一部のユーザーが「キットカー」に抱いていたネガティブなイメージを拭い去ることはできなかった。マーコスは289台のマンチュラを製造している。その性能とドライビングの楽しさは折り紙付きである。

マーコス・マンチュラ(1983年)
マーコス・マンチュラ(1983年)

ジマー・クイックシルバー(1984年)

ポール・ジマーは1978年にジマー・モーターカーズ社を設立し、高級車の製造を開始した。最初のモデルはネオクラシックのゴールデンスピリットだったが、1984年にポンティアック・フィエロをベースとするクイックシルバーが登場する。中古のフィエロのシャシーを16インチ伸ばし、グラスファイバーのボディシェルを載せ、内装はレザーとウッドで豪華に仕上げた。1988年まで生産されている。

ジマー・クイックシルバー(1984年)
ジマー・クイックシルバー(1984年)

UMMアルター(1984年)

UMMアルターは、1984年と1986年にそれぞれ2種類のバージョンが発売された。いずれも機能優先のデザインで、可能な限り広い室内空間を実現。アルターIIは1989年のパリ・ダカールラリーで完走を果たすなど、耐久性にも優れていた。

UMMはアルターIIの民間向けモデルも販売したが(ビーチに似合う明るいデカールを貼ったモデルもある)、ラーダ・ニーヴァと比較しても、あまりにもベーシックなクルマであることに変わりはない。1992年、ローマ法王ヨハネ・パウロ2世がポルトガルを訪問した際、パレード用の「ポペモービル」として使用されたこともある。

UMMアルター(1984年)
UMMアルター(1984年)

ポンティアック・サンバード(1984年)

初期のサンバードは退屈で、売れ行きもあまりよくなかった。しかし、サンバードGTが登場すると、すべてが一変する。ターボチャージャーを搭載し、「GT」の名にふさわしいスポーティなクルマとなったのだ。コンバーチブル仕様の追加に伴い、発売初年度は従来の2倍以上の販売台数を記録。最終的には3.0L V6モデルも登場した。しかし、ベストセラーは最高出力165psの2.0L 4気筒モデルで、ポンティアックの成功の方程式となった。

ポンティアック・サンバード(1984年)
ポンティアック・サンバード(1984年)

クライスラー・レーザー(1984年)

クライスラー・レーザーは、80年代を象徴するパープル・サンセット(紫色の夕焼け)の中、近未来的なデジタルメーターとともに売り出された。明らかに未来からインスピレーションを得たデザインであり、0-100km/h加速もポルシェ944日産300ZXターボに匹敵するタイムを実現。しかも燃費は約15km/lとお財布に優しい。ターボブーストゲージも採用し、15万台が販売された。

80年代はお好きだろうか? もしそうでなくても、ここで紹介したクルマに少しでも興味を持っていただけると幸いだ。後編もお見逃しなく。

クライスラー・レーザー(1984年)
クライスラー・レーザー(1984年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事