アストンマーティンDBX 詳細データテスト 速さと洗練性を兼備 標準車より楽しい タイヤは不足

公開 : 2022.12.10 20:25  更新 : 2023.01.05 00:38

707psがSUV最強ではなくなっても、DBX 707の速さは折り紙付き。しかも、快適性や高級感が維持されているのはみごと。よりハイグリップなタイヤと、価格に見合った最新エンタテインメントがあれば文句なしです。

はじめに

新たな経営陣のもと、新規ビジネスプランを打ち出したアストンマーティンだが、試練のときはまだ続く。前CEOのトビアス・ムアースがコストカットに全力を投入下にもかかわらず、四半期ごとに損失は積み重なっている。しかも、高額な費用がかかる訴訟問題にも直面している。

しかし、この会社にとってもっとも価値のあるものは、アンディ・パーマー指揮下の大胆な拡大戦略から生まれた最後のモデルとなって生き残っている。SUVのDBXだ。このモデルのセールスはいまだに強く、クルマそのものとしても強みを増している。

テスト車:アストンマーティンDBX707
テスト車:アストンマーティンDBX707    LUC LACEY

そうして登場した新たなバリエーションが、今回のテスト物件だ。アストンに言わせれば、パフォーマンスSUVセグメントの頂点に君臨するモデル、ということになる707だ。

DBXの生産は2020年の夏、ウェールズのセント・アサンで開始された。世界的なパンデミックや部品供給不足もどこ吹く風とばかりの好調な売れ行きで、昨年は3000台以上をロールアウトしている。DBXは、その基本設計であればより決定的な地位を望める。新規設定された707仕様は、そのさらなる地位向上を図るべく用意された。

この新たなフラッグシップは、パワートレインのみならず、サスペンションやブレーキにも大幅な技術の向上がみられる。725psのフェラーリプロサングエが出荷されるまでは、純正仕様で世界最強のパフォーマンスSUVの座は揺るがない。

アストン曰く、707は衝撃的な加速タイムを誇るためだけのクルマではなく、使い勝手や運転のしやすさ、一体感や優れたバランスも満遍なく兼ね備えた高級SUVでありながら、並外れたパフォーマンスを発揮できるものであるのだとか。いうなれば「ハンマーのようなクルマが居並ぶセグメントにおけるサーベル」なのだという。その切先の鋭さを、確かめてみようではないか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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