アストンマーティンDBX 詳細データテスト 速さと洗練性を兼備 標準車より楽しい タイヤは不足

公開 : 2022.12.10 20:25  更新 : 2023.01.05 00:38

結論 ★★★★★★★★☆☆

2年ほど前にロードテストを行ったアストンマーティンDBXの標準モデルは、星9個の高評価を得た。しかし、スーパーSUVセグメントの勢いは、今も衰えを見せていない。

アストンが今年2月にDBXの強化版を発表した際、もっともパワフルな市販SUVとの謳い文句に偽りはなかった。ところが9月には、フェラーリプロサングエの発表でその座を奪取した。さらに、よりパワフルなBMW XMが待機中ときている。

結論:DBXのよりよい仕様だ。少なくとも走りについては。それでも、改善の余地はまだ残っている。
結論:DBXのよりよい仕様だ。少なくとも走りについては。それでも、改善の余地はまだ残っている。    LUC LACEY

そうした流れの中で、もし自分のSUVが最速だと主張するのは、よくよく気をつけたほうがいい。今回計測した限りでは、DBX 707もそうだ。今回の結論はその点と、20万ポンド(約3300万円)級のクルマとしては細々とした部分で不足があることを反映したものだ。

それでも、標準モデルより強烈で、えもいわれず、エンタテインメント性の濃くなったクルマであることも確かだ。動力性能や運動性を大幅に高めていながら、大きな妥協を強いることはほぼない。主なライバルたちと比較しても、ルックスは穏やかで分別をなくしておらず、魅力的な万能性や日常での使い勝手も失っていない。

DBX 707は、どんな場面にもなじむというわけではないかもしれない。しかし、どこにいっても楽しめないということはまずない。

担当テスターのアドバイス

マット・ソーンダース

このクルマが限界域でのハンドリングをどこまで許容するかの判断は、アクティブロールスタビリティコントロールが、どの程度のウェイトが載っているかを知ることがキモになっている。ルーフボックスを積んだ場合などもそれを感知し、コーナリングの仕方が変わってくる。じつに賢い。

イリヤ・バプラート

自分が贅沢になっているのかもしれないが、20万ポンド(約3300万円)級の高級車でスマートフォンの接続にコードが必要というのは、イマドキ時代遅れに思えてしまう。ファミリーカーでも、5万ポンド(約825万円)程度の上級グレードなら、まずそんなことはない。

オプション追加のアドバイス

DBX 707の装備内容はかなり充実しているが、リセールヴァリューを高めるために23インチ鍛造ホイールとエクステリアのカーボンファイバートリムの少なくともどれかひとつは追加したい。ボディカラーは明るめで目立つメタリック、たとえば、ゴールデンサフランあたりがおすすめだ。

改善してほしいポイント

・タイヤはパフォーマンス志向のコルサがほしい。できれば無償オプションで。
・インフォテインメントのテクノロジーはアップデートを。ただし、実体入力デバイスは残したままで。
・後輪駆動のドリフトモードがあってもいいのではないだろうか。707の魅力である過激さが完全なものになるはずだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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