ボルボの2023年 細かすぎて伝わらない? しかし確実進化 ボルボ2023年モデル展開を読み解く

公開 : 2022.12.09 05:45  更新 : 2022.12.09 10:02

序列は? トリムレベルは最難関

ボルボの新たな外装のグレード名はダーク、ブライト、ベースという3種類。

これは以前のRデザイン、インスクリプション、そしてモメンタムに相当する。

ボルボV60アルティメットB4は7速DCTを採用。
ボルボV60アルティメットB4は7速DCTを採用。    宮澤佳久

一方内装のトリムレベル(サンルーフやオーディオなども含む)はSPAプラットフォームのモデル(60や90シリーズ)は2種類、CMAモデル(40シリーズ)の場合は3種類に分けられている。

新たなトリムレベルの名称はSPAモデルの場合はアルティメットとプラスの2種類。これは従来のインスクリプションとモメンタムに相当するという。

一方CMAモデルの場合はアルティメットがインスクリプション相当なのはとSPAと同様だが、モメンタム相当はプラスプロ、そしてこれまで車名の末尾に何も追記されていなかったベーシックグレードがプラスと呼ばれることになる。

電動化を急速に推し進めているボルボだが、MY22の後期からガソリンエンジンをミラーバーン化し、さらに7速DCTを採用してさらなる効率アップを果たしているとか、ポールスターエンジニアードといった物理的な話は頭に入ってきやすい。

だが従来の名称が少しイレギュラーなかたちで変更されるというのは、なんともまあ覚えにくい。そう感じるのは筆者だけだろうか?

ボルボMY23の最重要変化とは?

ボルボは2030年からはBEV専業メーカーとなると宣言し、現在は段階的に電動化モデルの純度を高めている状況にある。

今はまさに歴史的な過渡期なのである。

ボルボXC60リチャージ・アルティメットT6 AWDプラグインハイブリッド。リチャージ=プラグインハイブリッド、アルティメット=上級トリムと解す。
ボルボXC60リチャージ・アルティメットT6 AWDプラグインハイブリッド。リチャージ=プラグインハイブリッド、アルティメット=上級トリムと解す。    宮澤佳久

だからこそグレード分けが一時的に複雑になっており、また名称や内容が変わりやすくもあるのだろう。

当たり前の話だが上記の内容を理解して車名を見れば、クルマのスペックはあらかた理解できるようになっている。

XC60リチャージ・アルティメットT6 AWDプラグインハイブリッドを例にとれば、トリムレベルはアルティメットで上級、T6 AWD=前後にモーター装備、末尾のプラグインハイブリッドの文字列を見るまでもなくリチャージなので外装はダーク仕上げ、といった感じである。

一方、重要なMY23の変更点はモデル名から読み解くことができないものだ。

PHEVモデルのパワートレインが刷新されているのだ。

バッテリーの変更によりEV走行の距離が約85-105%も伸び、リアモーターの出力が65%アップしたことで、よりEV寄りのPHEVへと生まれ変わっている。

今のボルボはモデル名を正しく理解するのは大変だが、一方で見た目の変化に比べ、その中身は大きな前進を果たしているのである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。

PHEVもMHEVも着実進化 ボルボの3モデルに試乗

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