フランスを目指す旅へEVで BMW iX(3) 長期テスト スグレモノの最新版iドライブ
公開 : 2022.12.17 09:45 更新 : 2022.12.21 15:50
前面面積が大きいiX 少なくない電費への影響
どちらの充電器も、操作や接続は至って簡単。スーパーチャージャーは12台もあるから、先の利用者で埋まっている可能性も少ない。
欧州大陸側のユーロトンネルの出口は、フランスのカレーという町にある。ターミナル駅でクルマを降ろし、北東部のランスまでは高速道路で約3時間。バッテリーを温存するため、最初は制限速度の130km/hを少し下回るスピードで走ることにした。
しばらく進んだところで、到着時間を少し早めるべく、クルーズコントロールの設定速度を上げた。ただし、BEVはスピードが増すほど航続距離に小さくない影響が生じる。iXの電費効率は当初5.6km/kWhだったものの、3.5km/kWhへ低下した。
iXは大柄で重たいSUVで、前面投影面積が大きい。空気抵抗も、走行速度で大きく変わる。ディーゼルターボ・エンジンで走るSUVだったら、ここまで大きな燃費への影響はなかったかもしれない。
とはいえカレーで駆動用バッテリーを満たしたことで、最初の目的地、ランスまでの275kmを問題なく走りることはできた。予定より短時間で。車載列車を待っている間に充電するという時間の使い方は、とても有効だといえそうだ。
旅先で71kWhぶんの電気を確保できるか
ランスの人口は18万人ほどで、まだ充電インフラがしっかり整備されていない。事前に調べておいた方が賢明といえる。既に利用者がいたり、予想しない不具合などに備えて、プランAからプランCまで3か所の充電器を事前に選出しておいた。
プランAの場所へ向かってみると、問題なく利用できた。宿泊するホテルから近い、道端にある充電ポストだ。24時間の駐車料金が別に掛かり、それは5ユーロ(約800円)。一晩AC充電器に接続し、100%までの回復に22ユーロ(約3300円)を支払った。
翌日の目的地は、ランスから130kmほど南にあるトロワ。周辺の観光地を、iXで散策することにしている。駆動用バッテリーの充電量が100%の状態で自宅への帰路につくには、これから71kWhの電気を確保する必要がある計算だ。
iXは無事にグレートブリテン島へ再上陸できるだろうか。この続きは、次回お伝えすることにしよう。
テストデータ
テスト車について
モデル名:BMW iX xドライブ50 Mスポーツ(英国仕様)
新車価格:9万9965ポンド(約1659万円)
テスト車の価格:11万6965ポンド(約1941万円)
テストの記録
航続距離:540km
電費:5.1km/kWh
故障:なし
出費:なし