CX-5のエンジン+MX-30のEV技術 マツダCX-60(1) らしい輝きはあるか 長期テスト
公開 : 2022.12.18 09:45 更新 : 2023.01.06 15:18
上級志向のマツダから初のPHEVとなるCX-60が誕生。歴代モデルで最も高価な大型SUVの実力を、長期テストで確かめます。
初回 マツダ初のPHEV ライバルはボルボやBMW
マツダCX-60は、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)化された4気筒ガソリンエンジンを搭載し、車重は1980kgもある。ボルボやBMWによる、同クラスのライバルになることが目指されている。歴代のマツダの量産車で、最もパワフルな点も興味深い。
車重増を嫌うメーカーらしく、動的能力にフォーカスしたRXビジョンというコンセプト・スポーツカーが、量産化されるのではないかと考えられていた。テールハッピーなRX-7の後を継ぐように。ロータリー・エンジンの復活も噂されていた。
その実現は遠のいてしまったようだが、電動化技術への世界的なシフトは待ってくれない。CX-60の出番となった。
このSUVは、欧州市場では重要なポジションといえる、少し大きめのDセグメントに属する。電動化技術を本格的に採用し、駆動用バッテリーとモーターが載り、パワフルで、荷室は広い。
お値段は少々張る。長期テスト車のようにオプションを少し追加すると、英国価格は5万4000ポンド(約896万円)に接近する。
英国マツダを率いるジェレミー・トムソン氏の発言が思い返される。「わたしたちの願いは、歴史ある主力のプレミアムブランドに並ぶ、信頼を得ることです。ドイツ以外の存在として」
素晴らしい仕上がりのインテリア
実際、インテリアの仕上がりは素晴らしい。素材は厳選され、心に響くような装飾が控えめに施され、実際に押せるスイッチ類が残されている。もちろん、インフォテインメント・システム用の大きなモニターもある。
これは、どこか冷淡にすら感じられるドイツ勢のインテリアとは好対照。標準装備は初めから充実しており、追加したい機能は思い当たらない。
CX-60の全長は4740mmあるが、マツダの魂動デザインという哲学が展開されつつ、存在感が大きい。ボンネットは、2023年に英国へ導入される見込みの直列6気筒エンジンを載せるためか、不自然に長い。ボディサイドはやや単調で、リアには塊感がある。
印象は人それぞれだと思うが、スタイリング重視のクーペ風シルエットではない。車内空間が犠牲になっていないことがうれしい。実用性に疑問はない。友人の引っ越しを手伝う機会が増えそうだ。
ステアリングは適度にクイックで、運転席からの視界は良好。ロンドンの入り組んだ道を走っても、1960年代に建てられた狭い立体駐車場に入っても、まだボディは擦らずに済んでいる。