CX-5のエンジン+MX-30のEV技術 マツダCX-60(1) らしい輝きはあるか 長期テスト
公開 : 2022.12.18 09:45 更新 : 2023.01.06 15:18
CX-5のエンジン+MX-30のEV技術
筆者がCX-60で最も驚いたことは、PHEVの採用に当たり、戦略的な協力関係にあるトヨタを頼らなかったこと。モデルとしては、2.5Lのアトキンソンサイクル4気筒エンジンと、18kWhの駆動用バッテリー、2基のモーターを積むRAV4 PHEVに近い。
CX-60のPHEVシステムは、マツダ独自に開発が進められた。内燃エンジンはCX-5にも積まれている2.5L 4気筒がベース。電動化技術は、バッテリーEV(BEV)となるMX-30 EVのモノを展開しているという。
CX-5もMX-30も、ドライブトレインはモデルの強みとはいえなかった。内燃エンジンは自然吸気でパワーが伸びず、燃費は今ひとつ。駆動用バッテリーは容量が小さく、航続距離が短い。
ところが、2つを組み合わせることで、現代のこのクラスのPHEVとして充分な能力を生み出した様子。車重とは裏腹に、駆動用モーターは鋭い加速力を発揮する。内燃エンジンのサウンドは単調だが、PHEVとして主役ではないことの表れといえる。
PHEVだから、燃費には期待がかかる。WLTP値でのカタログ燃費は66.6km/Lと、相変わらず現実離れしているものの、実際にはどの程度の数字が得られるだろうか。
マツダらしい輝きを放てるのか
駆動用バッテリーでの航続距離は、62kmがうたわれている。SUVの一般的な使われ方として、充分な距離といえる。平日の通勤はEVモードで、週末の長距離レジャーは内燃エンジンと共用で、という走り方が想像できる。
筆者の場合、通勤距離は往復で19km。最近は週3回の出社だから、充電無しで1週間もつかもしれないと期待したが、実際に走れる距離はカタログ値の半分に近かった。真冬に向けて、もっと短くなると考えて良いだろう。
職場で充電することで、基本的には内燃エンジンに頼らず通勤できている。それでも、今のところ平均燃費は14.0km/L程度。燃費の優れない4気筒を眠ったままにするべく、気を使って運転しても。ガソリン価格は下がらないものだろうか。
マツダが主張するように、CX-60がプレミアムSUVに属するモデルであるなら、エネルギー効率以外にも比較される分野は多岐に渡る。マツダらしい輝きを放てるのか、これから数か月をかけて確かめてみたい。
セカンドオピニオン
CX-60の発表会へ出向いた時、マツダが抱く期待の大きさが伝わってきた。CX-5をこれまでの成功モデルとするなら、CX-60はその未来を受け継ぐモデル。持続可能性に対するマツダの「マルチソリューション」戦略の一部をなしている。
これからの成功の糸口として、このSUVが背負うものは大きい。フェリックス・ペイジも気に入る仕上がりであることを期待しよう。 Piers Ward(ピアス・ワード)
テストデータ
テスト車について
モデル名:マツダCX-60 2.5PHEV AWD タクミ(英国仕様)
新車価格:4万9520ポンド(約822万円)
テスト車の価格:5万3370ポンド(約885万円)
オプション装備
コンビニエンス&ドライバー・アシスタンス・パッケージ:2100ポンド(約34万8000円)
パノラミック・サンルーフ:1000ポンド(約16万6000円)
ロジウム・ホワイト塗装:750ポンド(約12万4000円)
テストの記録
燃費:66.6km/L(WLTP値)
故障:なし
出費:なし