誰も知らない80年代の名車 39選 後編 マイナー過ぎてついていけない無名のクルマたち

公開 : 2022.12.10 18:25

レクサスES(1989年)

トヨタは当初、初代レクサスLS(セルシオ)をフラッグシップモデルとして想定していた。特に米国での市場調査の結果、レクサスブランドにふさわしいと判断されたが、さすがに1台では寂しかったのか、カムリに手を加えてESとし、ラインナップを補強した。

1989年のデトロイト・モーターショーでLSと並んでデビューしたESは、LSよりも小型で低価格という位置づけだった。レクサスは、1989年9月にESの米国販売を開始。両モデルとも人気を博し、新生レクサスは同年末までに1万6000台の販売を記録した。1991年に登場した2代目ESは、内外装ともにレクサスらしいデザインに仕上げられている。

レクサスES(1989年)
レクサスES(1989年)

ベルトーネ・フリークライマー(1989年)

1980年代、4WD車は大きく変貌を遂げた。ジープグランドワゴニアランドローバーレンジローバーなど、これまで「道具」として購入されていたモデルが、「ステータス」の象徴として扱われるようになったのだ。ベルトーネは、この時代の変化をチャンスと捉える。

ダイハツのロッキーをベースに、インテリアを一新し、デザインにも手を加え、さらにエンジンをより滑らかでパワフルなBMW製に換装。1989年からフリークライマーとして発売した。1989年から1992年にかけて、約2800台が生産されている。この成績は決して輝かしいものではなかったが、2代目が開発されるには十分だったようだ。1992年に販売を開始したフリークライマーII(写真)は、1995年まで2800台が生産された。

ベルトーネ・フリークライマー(1989年)
ベルトーネ・フリークライマー(1989年)

ラフォルツァ5リッター(1989年)

1989年に登場したラフォルツァ5リッターの形状は、1980年代後半にイタリアを旅行した人なら誰でも見かけたことがあるだろう。ベースとなっているのは、イタリア軍、警察、カラビニエリ(憲兵隊)のために作られた、フィアット・ウノを少しマッチョにしたようなデザインのレイトン・フィッソーレ・マグナムだ。

自動車デザイナーのトム・ジャーダ(1934-2017)は、このマグナムをレンジローバーのような高級SUVに仕上げてほしいとの依頼を受ける。こうして生まれた5リッターは、フォードから提供された4.9L V8を搭載し、4速AT、四輪駆動を標準装備とした。内装には本革シートやリアルウッドトリムを採用して豪華に仕上げている。

ラフォルツァ5リッター(1989年)
ラフォルツァ5リッター(1989年)

当初はカリフォルニアを中心によく売れたが、初期モデルはさまざまな問題に悩まされ、最終的に同社は1990年に破産を申請した。その後、サウジアラビアのバドラーン・エンタープライズが資産を買い取り、本国で5リッターの販売を開始。まさかの復活を遂げている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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