タイヤ3本でも幸せなモーガン・スーパー3 素晴らしいFRクーペのBMW M240i BBDC 2022(2)
公開 : 2022.12.30 13:45
普段使いが前提の優れた高性能クーペ
恐らく、情熱的という言葉はBMW M240i xドライブにも当てはまる。だが、その熱量はさほど高いわけでもないようだ。どちらかといえば、上質さや快適性に重きが置かれている。
もちろん身のこなしは機敏で、十二分に充足感のあるドライビング体験は得られる。それでも、心を高ぶらせる走りより実用性側に軸足がある。
公道での試乗を終え、アングルシー・サーキットでどのクルマが最もわれわれの心を掴むのか考えた時、M240i xドライブは上位に入ると予想したモデルの1台だった。審査員の間では、ノミネート車両で最初は1番人気が高かった。
ところが、「典型的な80点のクルマといえます。それはそれで悪くないのですが」。誰かが、こう口にした。リチャード・レーンも、そんな意見に考えは近かった。
「とても優れた、普段使いを前提とした高性能クーペです。3.0Lの直列6気筒エンジンは甘美に回るし、ステアリングレシオは直感的。xドライブを搭載したシャシーは驚くほど能力の幅が広いですね」
「でも、今回の11台のなかで際立つほどではないでしょう。余分な車重と、やや過剰な上級感や洗練具合が、興奮を誘うドライバーズカーとしての訴求力を鈍らせているようでした」
一般道では、適度に引き締められたシャシーで驚くほどの速さを披露した。一方で、サイズにしては重い1690kgの車重と柔らかめの足まわりで、サーキットでは少々精彩に欠いていた。
もちろん、精鋭揃いのなかで僅かに光量が足りなかっただけ。素晴らしいFRモデルだということは、誤解しないで欲しい。
この続きは(3)にて。