フォードの血が流れる2代目 フォルクスワーゲン・アマロックへ試乗 大手協働で一新 後編

公開 : 2022.12.20 08:26

VWのピックアップ、アマロックがモデルチェンジ。フォードが開発を主導した2代目を、英国編集部が確認しました。

未開の大地へも挑めそうな悪路性能

2代目へ進化したフォルクスワーゲン・アマロック。欧州市場に提供されるのはダブルキャブのみで、トルクコンバーター式の10速ATが標準装備される。アジアなど一部の市場では、MTでシングルキャブのユーティリティ仕様も提供されるとのこと。

四輪駆動が標準で、クラッチベースのトルク分配機能を採用。通常は後輪駆動での走行となるが、必要に応じてフロントアクスルへも駆動力が伝えられる。

フォルクスワーゲン・アマロック 3.0TDI アベンチュラ(南アフリカ仕様)
フォルクスワーゲン・アマロック 3.0TDI アベンチュラ(南アフリカ仕様)

リアにはロッキングデフが組まれるほか、常に四輪駆動で走ることも可能。ローレンジ・トランスファーも載っている。悪路の走破性は、相当に高い。

今回の試乗場所は南アフリカで、過酷ではない程度の荒れ地へ数km挑んでみた。サスペンションのストロークは長く、設置性を保ったまま難なく走破してみせた。急な下り坂ではブレーキを介入させつつ、ヒルディセント・コントロールが効果的に機能した。

経験の長いフォードだけに、路面とシャシー底面との位置関係は良好。前後のオーバーハングは短く、アプローチ・アングルやデパーチャー・アングルは大きい。

渡河水深は、先代の500mmから800mmへ増えている。オプションのシュノーケルを装備すれば、さらに深い場所にも対応できる。アンダーボディのプロテクションも取り付け可能。ジープラングラーには敵わないとはいえ、未開の大地へも挑めそうだ。

洗練され馴染みやすいピックアップトラック

舗装路での快適性や能力にも優れている。特に試乗車はアベンチュラ・グレードで、オンロード前提の仕立てになっていた。

フォルクスワーゲンらしく、現実的な予算で購入できる、最も洗練され馴染みやすいピックアップトラックが目指されている。自社で細部のデザインや素材の選定をしたという運転席に座れば、その努力が伝わってくる。ダッシュボードの造形も違う。

フォルクスワーゲン・アマロック 3.0TDI アベンチュラ(南アフリカ仕様)
フォルクスワーゲン・アマロック 3.0TDI アベンチュラ(南アフリカ仕様)

車内は広々とした印象で、内装パネルなどの質感にも優れる。運転席からの視界は良好で、メーター式モニターも確認しやすい。

インフォテインメント・システムには、実際に押せるハードボタンが沢山用意されている。ダッシュボードの表皮はレザー調の素材で覆われ、エアコンの送風口はメタリック調。トラックという言葉から想像する以上に、雰囲気は洒落ている。

シフトセレクターや電子ハンドブレーキのレバー、駆動系の選択スイッチなどが並ぶセンターコンソールは、シンプルなデザインで実用性重視。アマロックが使える道具だということを匂わせる。

一方で、初代のアウトドア・アイテム的な雰囲気が恋しく感じられるかもしれない。フォードの製造品質が低いわけではないものの、フォルクスワーゲンが100%仕上げたデザインセンスには敵わないようだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

フォードの血が流れる2代目 フォルクスワーゲン・アマロックへ試乗 大手協働で一新の前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事