次期メルセデスAMG GT 冬季テスト車両発見 アファルターバッハ最後のV8世代か
公開 : 2022.12.13 06:25
シャシーは専用チューン
構造としてはオープントップのSLと同じモジュラー・スポーツ・アーキテクチャをベースにしているが、固定ルーフとリフトバックテールゲートに対応するよう手が加えられている。新型車の開発に携わった関係者によると、縦方向、ねじれ方向、横方向の剛性がすべて向上しているという。
また、シャシーマウントを新たに開発し、オリジナルモデルのNVH特性や路面感度を改善したとのこと。一方、ボディにはアルミニウム、スチール、マグネシウム、カーボンファイバーが使用されている。
大きな変更点として、SLSで初めて採用され、現行GTまで続いたリアトランスアクスルの廃止が挙げられる。これは、SLに採用された4マチック+と後輪操舵システムの搭載スペースを確保するためだ。
こうした変更に関わらず、前後重量配分は、従来の47:53から大きく変化していないという。
足回りとしては、新開発のアクティブ・ロールコントロール・サスペンションが採用され、フロントはダブルウィッシュボーン、リアはマルチリンク式で、スチールスプリング、可変ダンピング、油圧作動式ロールバーが組み合わされている。これもSLと同じセットアップだが、エラストキネマティック特性を変更し、「全く異なるドライビング・キャラクター」を与えるためのチューニングが施されるようだ。
インテリアは、SLとほぼ同じ2+2の構成となる見込みだが、よりスポーツ性を強調するため、細部のトリムが変更されるだろう。
AMGを代表するV8エンジン搭載車
新型のC 63では、V8エンジンから2.0L直列4気筒ハイブリッドに置き換わり、ハイパーカーのAMGワンもF1由来のV6ハイブリッドを搭載していることから、アファルターバッハ製の8気筒エンジンの時代がもう終わりつつあることは明らかである。
現在、GT 4ドア・クーペやSL、Gクラス、GLSなどで4.0L V8が搭載されているが、2023年にデビューする新型GTとS 63が、同エンジンを載せたAMG最後の市販モデルとなりそうだ。
AMG初の公道向け市販モデルが誕生してから約40年。V8エンジンを搭載した最も派手で誇らしい傑作をいくつか紹介する。
1986年:AMGハンマー
このスーパーサルーンのパイオニアは、大人気のW124型230Eをベースにして、同時代のBMW M5に対抗して登場した。AMGの将来を決定づけたモデルと言っても過言ではない。最も強力なモデルでは、高度に改良された6.0L V8を搭載し、ランボルギーニ・カウンタックとほぼ同等の0-100km/h加速5.0秒を達成できた。
1997年:メルセデスC 43 AMG
メルセデス・ベンツがAMGを買収した後、ベースとなったW202型Cクラスと同時に生産された最初のモデル。4.3L V8エンジンを搭載し、最高出力310ps、最大トルク41.7kg-mを発揮したこのモデルは、セダンとステーションワゴンが販売された。
2004年:メルセデス・ベンツSLRマクラーレン
SLRは、モータースポーツ界のビッグネーム2社が共同開発したスーパーカーである。ゴードン・マレーがデザインし、マクラーレンが英国で製造したこのモデルは、AMGの5.0L V8スーパーチャージャーによって600ps以上のパワーを発生し、この時代を代表するハイパフォーマンスカーとなった。
2012年:メルセデスC 63 AMGブラックシリーズ
標準のCクラスとは似ても似つかないハードコアなブラックシリーズ第4弾。忘れがたいコーナリング性能だけでなく、5.5L V8ツインターボの高い順応性によって、多くの評論家から「技術的にも戦術的にも大成功」と称賛された。
画像 メルセデスAMGのハイブリッド・クーペ、2代目へ【次期AMG GTのプロトタイプと新型SL、現行GTを写真で比較】 全66枚