カワサキからまさかの四輪車! 北米で人気のカワサキ・テリックス&ミュールに悪路で試乗 オフロード四輪車の魅力、伝えたい 

公開 : 2022.12.15 05:45

働くクルマ「ミュール・プロ-FXT EPS」

その2は、ミュール・プロ-FXT EPSである。

ミュールは「Multi-Use Light Equipment」の意で、プロ-FXT EPSは前後ベンチ・シートの6人乗り+荷台、後席を畳むと3人乗り+より広い荷台となる。

カワサキ・ミュール・プロ-FXT EPS
カワサキ・ミュール・プロ-FXT EPS    カワサキ

簡便な多用途車として、農場や牧場、建設現場などでの使用を前提にしており、日本の軽トラック比100kg以上の453kgの最大積載重量と907kgの牽引能力を誇る。

シャシーは頑丈なラダー・フレームで、リア・アクスルの直前に排気量812ccの直列3気筒DOHC 4バルブを横置きする。6人乗りのミドシップなのだ。

ホイールベースはテリックス4よりちょっと長い2345mm、車重は100kg以上重い867kgある。

最高出力は48ps/5500rpm、最大トルクは6.6kg-m/3500rpmと低中速トルク重視型で、アイドリング音もちょっと重々しい。

これもCVTを介して後輪または前後輪を駆動する。CVTはH/Lの切り替えができるのも同様だけれど、ギア比がそれだけ低いということだろう、同じコースを走るのにHを推奨された。

運転感覚は、なるほど働くクルマという印象で、だけど乗り心地は軽トラックみたいに荒れた路面でもポンポン跳ねない。価格は278万3000円。

ミュール・プロ-FX EPSという3人乗りで、ダンプ機能のついた荷台付き、もある。そちらは242万円。

最新モンスター「テリックスKERX 1000」

最後は、トレイル・アドベンチャーに主眼を置いた2シーターのRUV(レクリエーション・ユーティリティ・ヴィークル)のテリックスKERX 1000だ。

この分野ではより高い性能が求められているそうで、そうした声に応えて2019年にカワサキが投入した最新モデルである。

カワサキ・テリックスKERX 1000
カワサキ・テリックスKERX 1000    カワサキ

シャシーはより高い剛性を得るべく、ラダー・フレームにアーチ形状のロール・バーにも強度を持たせている。

前ダブル・ウィッシュボーン、後ろトレーリングアームのサスペンションは見るからに長いホイール・トラベルを備えている。

数値で比較すると、テリックス4の前後は272/254mmに対して、テリックスKRX 1000は472/536mmもある。ホイールベースは2シーターなのに2512mmと長く、トレッドも前後1505/1512mmと、テリックス4の1400/1330mmよりグッと広い。

リア・アクスルのほとんど真上に、バイク風にいうと並列、自動車風だと直列2気筒DOHC 4バルブ・エンジンを横置きする。

排気量999ccで、最高出力114ps/8500rpm、最大トルク10.6kg-m/7000rpm。

そんな高性能ユニットを車重860kgのシャシーに組み合わせているのだから、自動車の基準でいえばモンスターである。

安全性に配慮して、北米ではオプションの6点式シートベルトを国内仕様では標準装備する。

トランスミッションはCVTで、H/Lの切り替えができ、後輪、もしくは前後輪を駆動する。

開発ドライバーの助手席も体験したけれど、ミューが低いこともあってRWD時にリアをスライドさせることはたやすい。

岩場も軽々走ることができて、フル加速するとシートベルトが肩に食い込む。

こんなスーパー・ロデオ・マシンで荒野をぶっ飛ばしたら、さぞや痛快だろう。価格は363万円。ウチの敷地が1万坪あったらなぁ……。

記事に関わった人々

  • 執筆

    今尾直樹

    Naoki Imao

    1960年岐阜県生まれ。幼少時、ウチにあったダイハツ・ミゼットのキャビンの真ん中、エンジンの上に跨って乗るのが好きだった。通った小学校の校長室には織田信長の肖像画が飾ってあった。信長はカッコいいと思った。小学5年生の秋の社会見学でトヨタの工場に行って、トヨタ車がいっぱい載っている下敷きをもらってうれしかった。工場のなかはガッチャンガッチャン、騒音と金属の匂いに満ちていて、自動車絶望工場だとは思わなかったけれど、たいへんだなぁ、とは思った。

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