スバルインプレッサWRX

目には目を。盗難車のスバル・インプレッサWRXで暴れまわる悪党にうんざりしていたオーストラリア警察は、自分たちもWRXをパトカーに採用してしまった。記録では、インプレッサWRXを使った追跡事案は2年間で100件以上にのぼったとされる。

2017年の映画『ベイビー・ドライバー(Baby Driver)』の冒頭で、エドガー・ライト監督が逃走車両として選んだのが赤いスバル・インプレッサWRXだ。アクション映画史上、最高のオープニングシーンの1つと言える。撮影に使用された車両のうち1台は、主演俳優アンセル・エルゴート(ベイビー)の誕生日に贈られた。彼はインタビューで、「ひたすら、僕にくださいと懇願し続けたんだ」と語っている。

スバル・インプレッサWRX
スバル・インプレッサWRX

シトロエンDS

シトロエンDSを逃走用のクルマとして使えば、命は助かるかもしれない。1962年のフランスで、OASと呼ばれるグループがシャルル・ド・ゴール大統領の暗殺を企てた。パリ市内を移動中の大統領夫妻に、銃で武装した12人が襲いかかる。

オートバイに乗った護衛2人が死亡し、DSの後部窓は粉々に砕かれ、4本のタイヤはすべてパンクした。運転手は巧みにハンドリを操り、横滑りを制御しながら、大統領夫妻をなんとか危険から逃がすことに成功した。ド・ゴール大統領は、この運転手とシトロエンのサスペンション・システムに命を救われたのである。

シトロエンDS
シトロエンDS

ダッジ・チャージャー

ダッジ・チャージャーは、映画『ブリット(Bullitt)』やドラマ『爆発!デューク(原題:The Dukes of Hazzard)』のように、米国で最も有名な逃走車の1つとして知られている。大きくて、パワフルで、運転しやすく、タイヤスモークに包まれた姿はとても魅力的である。

強盗ではなく、警官になることでチャージャーに乗るという手もある。ダッジ・チャージャー・パシュート・パッケージには、3.6L V6 24バルブまたは5.7LヘミV8エンジン、防弾ドア、セキュアパーク、スチール製セーフティフレーム構造、フロントとリアのクランプルゾーン、それからクリスピークリームドーナツの生涯供給が含まれている。

ダッジ・チャージャー
ダッジ・チャージャー

フォードブロンコ

History.com(ヒストリーチャンネル)はこのクルマを「20世紀で最も悪名高いクルマ」としている。1994年6月のある金曜日、アル・カウリングスが運転する白いフォード・ブロンコは、ヘリコプターが頭上を旋回する中、ロサンゼルスのフリーウェイ80kmをパトカーを先導して走った。後部座席には、アメリカンフットボール選手のO・J・シンプソンが乗っていた。

シンプソンが自宅前で自首するまで、約9000万人がこの逃走劇をテレビで観たという。白いブロンコは現在、テネシー州のアルカトラズ・イースト犯罪博物館に展示されている。

フォード・ブロンコ
フォード・ブロンコ

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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