アルファ・ロメオ・アルフェッタ

アルファ・ロメオ・アルフェッタは、1972年から1984年まで生産された長寿モデル。車名は「小さなアルファ」を意味する。一見すると、カーチェイスには向かないように思えるが、実際、搭載される非力なエンジンは銀行強盗犯にとっても魅力的ではないだろう。

しかし、1980年のアルフェッタ2000は、イタリアンマフィアのボスであるフランチェスコ・ムト(Francesco Muto)の愛車だった。彼は白いアルフェッタ2000のボディパネル、車輪、窓を防弾仕様とし、いつでも部下を呼べるよう通信システムも取り付けた。何の変哲もない2.0Lエンジンが重量増に対応できるかどうかは、乗ってみないとわからない。

アルファ・ロメオ・アルフェッタ
アルファ・ロメオ・アルフェッタ

メルセデス・ベンツ450 SEL 6.9

1975年、岩のように頑丈なメルセデス・ベンツ450 SEL 6.9が登場した。当時、世界最高のクルマの1つであり、最速のセダンの1つでもあった。ただ速いだけではない。ハイドロニューマチックサスペンションは、銀行から戦利品を積んで帰ってくるときに、バランスを保つ素晴らしい働きをしてくれるだろう。

メルセデス・ベンツ450 SEL 6.9
メルセデス・ベンツ450 SEL 6.9

ランボルギーニカウンタック

カウンタックは決して逃走用車両に向いているわけではない。視界は悪いし、乗り降りしにくいし、戦利品を隠しておく場所もない。しかし、1980年代の麻薬密売人には好まれていた。

当時、米国でカウンタックに乗っていたのは金持ちや犯罪者だけではない。フロリダ州警察では、犯罪者から押収した証拠品を「法執行のために使用する」という方針をとっていたため、80年代の警官の中には、『マイアミ・バイス』などのテレビドラマで見られるようなスーパーカーに乗る人もいたのである。

ランボルギーニ・カウンタック
ランボルギーニ・カウンタック

ジャガーSタイプ

最後にもう1台、ジャガーを紹介する。1963年に発表されたSタイプは、Mk2とMk10の中間に位置するモデルだ。Mk2よりも大きく、かつ小型セダンのように軽快なこのクルマは、すぐに警察や強盗に選ばれるようになった。

エンジンは3.4Lと3.8Lで、後者はドラマ『ロンドン特捜隊スウィーニー(原題:The Sweeney)』で使用された。オンラインデータベースIMDbによると、スタントドライバーは、修理して再塗装すれば何度でも使えるという安全性の高さから、Sタイプを気に入っていたという。

ジャガーSタイプ
ジャガーSタイプ

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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