「失敗作」と誤解されがちな世界の人気車種 12選 実は大成功だったクルマたち

公開 : 2022.12.18 18:05

自動車の歴史を振り返ると、残念な「失敗作」と見なされているクルマも数多くあります。しかし、そんなクルマの中には当時「大成功」を収めていたものも少なくありません。失敗した名車、成功した欠陥車を紹介します。

失敗した名車、成功した欠陥車

自動車の歴史を振り返ると、何らかの問題を抱えた「失敗作」が無数に存在する。設計ミスか、作りが悪かったのか、マーケティングが不十分だったのか、あるいは単に生まれる時代を間違えたのか。とにかく話題には事欠かない。

しかし、今でこそ酷評されることが多いものの、実際には驚くほど良く売れたクルマもいくつかある。ここでは、その代表的な12台をアルファベット順に紹介しよう。

今でこそ酷評されているが、発売当時は販売チャートを独占するほど人気だったクルマもある。
今でこそ酷評されているが、発売当時は販売チャートを独占するほど人気だったクルマもある。

AMCグレムリン

グレムリンは、その車名(妖精に由来)とスタイリングが原因で、しばしば悪いクルマとして紹介されてしまう。これはちょっと不公平な話だ。

パワーと経済性の両立(2.0Lから5.0Lまで、さまざまなエンジンを用意)、驚くべきボディ剛性の高さ、1970年に登場したクルマとしては非常に過激な外観など、評価すべきところは数多くある。

AMCグレムリン
AMCグレムリン

1979年によく似たAMCスピリットが登場するまで、グレムリンは70万台近く売れた。この数字は否定のしようがあるまい。ライバルのフォード・ピントには大きく水をあけられたものの、まずまずの成功と言える。

何より、AMCというメーカーは米国の「ビッグスリー」よりもはるかに規模が小さく、限られた予算と人員の中からこのようなクルマが生まれたことは注目に値する。

オースチン・アレグロ

英国の主要自動車ブランドが結集したブリティッシュ・レイランド(通称BL)は、デザイン、信頼性、労使関係の悪さが今でもジョークのネタになっている。オースチンから1973年に発売され、2度の改良を経て9年間生産が続けられたアレグロは、良くも悪くもBLの「代表的」なクルマであった。

アレグロの外観は、自動車デザイナーのハリス・マン(1938年生まれ)の意図を大きく外れてダサかったし、エンジンは旧式で、シフトチェンジの質にも問題があった。また、悪名高い四角いステアリングホイールは、早い時期に廃止されたにもかかわらず、消費者に悪いイメージを植え付けてしまった。

オースチン・アレグロ
オースチン・アレグロ

しかし、よく言われるほど失敗作ではない。BLの危機を救えるほどの収益は上げられなかったが、それでも、10年足らずの間に67万台近くを販売するなど、貢献度は決して低くはなかった。

シボレー・サイテーション

シボレーが100年以上にわたって製造してきた自動車の中で、サイテーションほど酷評されたクルマはない。シボレーにとって1980年代の期待の新型車であり、同社史上初の前輪駆動車であった。当初、メディアの反応も非常に好意的だった。一体、何が悪かったのか?

サイテーションは、1980年の販売台数だけを見れば、大成功と捉えることができる。この年だけで、なんと80万台以上売れたのである。しかし、その後が大変だった。残りの5年間すべての生産台数を合わせても、これとほぼ同数しか売れなかった。

シボレー・サイテーション
シボレー・サイテーション

メディア向けに用意された試乗車は、実際に販売された車両よりもはるかに質が良かったという報告がいくつもある。例えば、試乗車ではトルクステアの暴走を抑えることができていたのに対し、市販車ではしばしば問題視されている。また、ブレーキング時に後輪がロックしてしまうという悪癖があり、これがしばしば悲惨な事故を招いたのだ。

単一のモデルで160万台を販売したことは素晴らしいが、それは発売初年度の消費者がクルマの実像を理解していなかったからに他ならない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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