「失敗作」と誤解されがちな世界の人気車種 12選 実は大成功だったクルマたち

公開 : 2022.12.18 18:05

シボレー・コルヴェア

初代コルヴェアは、エンジンをリアに搭載し、リアサスペンションをスイングアクスル式としたことで有名である。これは、慣れないドライバー、つまりフォルクスワーゲンビートルを所有したことがないドライバーにとっては難しい組み合わせだ。

社会活動家ラルフ・ネーダー(1934年生まれ)は、ベストセラーとなった著書『Unsafe At Any Speed』の中で、この設計を強く批判している。こうした悪評がコルヴェアの存在を脅かすかと思われたが、そう簡単にはいかなかった。

シボレー・コルヴェア
シボレー・コルヴェア

実際、コルベットは1960年代に180万台以上が売れている。その「面白い」ハンドリングが、人々の購買意欲を減退させることはなかったようだ。それに、ネーダーの本が出版されたのは1965年末で、その頃には一般的なサスペンションを備えた改良型がすでに発売されていたのである。

1966年に販売が落ち込み、その後回復しなかったが、これは必ずしもネーダーだけのせいではない。GMによるマーケティングの縮小、モデルの老朽化、新しいフォードマスタングの人気が急上昇していたことなどが要因である。

クライスラーPTクルーザー

2000年に登場したPTクルーザーは、クライスラー・ネオンをベースに室内空間を拡大し、ブライアン・ネスビット(1969年生まれ)が考案した1930年代風のレトロスタイリングを特徴としている。

当初は好評で、複数の賞を受賞した。2010年に生産終了しても根強いファンがいる一方で、我慢の限界に達した人もいた。特にカブリオレは、ボディの揺れがひどく、1960年のモーリス・マイナー・コンバーチブルと比較されるなど、批判を浴びた。

クライスラーPTクルーザー
クライスラーPTクルーザー

「もう好きではなくなった」「もともと好きじゃない」という人の意見はともかくとして、PTクルーザーの10年間はそれなりに成功だった。その総販売台数は130万台を超える。しかし、2007年以降、レトロな外観がまずまず古臭く見えるようになったのか、消費者の関心は徐々に薄れていった。

フォード・エスコートMk5

英国では、つい最近まで半世紀近くにわたってフォードが主役であり、エスコートも1980年代を通して販売チャートを独占していた。

1990年に登場した新型エスコートは、そのスタイリングと走行性能の低さから、たちまちメディアから非難を浴びることになった。どうやら開発には10億ポンドが費やされたようだが、どこへ消えたのかは定かではない。5代続いたこの名車も、そろそろ終わりなのだろうか……。

フォード・エスコートMk5
フォード・エスコートMk5

フォードはこうしたメディアの指摘に素早く対応し、わずか2年後に全面改良したエスコートをショールームに並べた。ところが、販売台数を見る限り、メディアの影響はそこまで大きくなかったようである。

1990年と1991年には兄弟分フィエスタの後塵を拝していたが、翌年には再び首位に返り咲いた。改良型が登場したのは9月だから、好調の理由とは考えにくい。英国の消費者は、例えどんなクルマであってもエスコートを欲しがっていたようだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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