「失敗作」と誤解されがちな世界の人気車種 12選 実は大成功だったクルマたち
公開 : 2022.12.18 18:05
フォード・ピント
フォード・ピントは、燃料タンクの位置が悪く、追突事故の際に火災を起こしやすいという設計上の欠陥があった。安全性の低さを指摘する声は多く、フォードの評判は大きく損なわれることになる。
これは、自動車メーカーにとって屈辱的な出来事であろう。しかし、肝心のピントの販売にはあまり影響を与えなかった。ピントは大きなマイナス評価を受けながらも、米国で発売されたフォード初のサブコンパクトモデルとして大人気となった。
1970年から1980年までの総販売台数は310万台を超え、安全性への不安が叫ばれ始めた1974年でも50万台を突破している。その後、販売は減少していったが、年間20万台近いペースを最後まで維持している。
ラーダ・クラシック
「ラーダ・クラシック」は正式名称ではなく、ロシアのアフトワズが1970年から2012年まで生産したフィアット124由来のセダンおよびワゴンの総称である。本国では人気を博し、欧州各国にも輸出された。しかし、新車を安く買いたい人たちや、他人の目を気にしない人たちを除いて、冷ややかな目で見られることが多い。
このクルマはとにかく売れている。生産終了となった時点で、アフトワズは1800万台近くを製造したという。この数字が正しいとすると、ビートルズの解散からテイラー・スウィフトの大ブレイクに至るまで、毎年平均40万台以上が生産されたことになる。これだけの実績がありながら、冷遇されるクルマが他にあるだろうか?
モーリス・マリーナ
マリーナは、低迷期の英国自動車産業が生んだ史上最低のクルマと揶揄されることが多い。「最低」というはちょっと大袈裟だが、ブリティッシュ・レイランドが1970年代に製造したミドルサイズモデルとしては、偉大というには程遠いものであったことは事実である。
使い古された技術を使ってインスタントに作られたクルマであり、発売後も開発が必要だった。ゲームやIT業界でいう「オープンベータテスト」の先駆け、と考えれば気休めにはなるかもしれない。しかし、生産が終了する何年も前から、ライバル車と比較して非常に古臭いと言われるようになっていた。
まぁ、端的に言えば、失敗作だ。
ただ、販売はそれなりに順調だった。ライバルのフォード・コルチナほどには消費者の心をとらえることはなかったが、しばらくは英国でベストセラーとなり、海外でもそこそこの成功を収めている。
110万台以上が生産され、そのうちの40%近くが海外に輸出されたといわれている。今日では、オースチン・アレグロよりもひどいクルマと思われることもあるが、ほぼ同時期にその倍近い売り上げを達成したのである。