アウディTT Sクーペ

公開 : 2014.09.04 23:55  更新 : 2017.05.29 18:15

テスト車両のホイールは19インチのアロイ・ホイールを履き、245/35ZR19のハンコック製のタイヤが一般的な組み合わせとなる。通常の路面での乗り心地はややバタつく傾向があり、ダンパーをソフトな方向にセットしてもその傾向はわずかながらに残った。

ただし市街地やクルージングではことのほか印象は良好。適切なドライビング・ポジションやキャビンに侵入する音の抑制がそう感じさせているのだろう。ステアリングの感触も良く、正確性も満足に足る完成度だ。TTがよく売れる理由は無数にあるけれど、なかでもユーザビリティの高さが大きく影響していることを改めて感じた。

速度を上げていけば更に良さが光る。ゴルフRのクローンと言うほどでもないが、細かい身のこなしにはゴルフRと通ずるものがある。またこちらの方がクーペらしい流麗なラインを持つため、筆者自身このクルマを ’スポーツカー’ と呼ぶに躊躇いはない。

ダンパーのモードを変更できるのと同様に、エンジンやギアボックス、ステアリングの重みやESCの介入マナーの選択も可能。予め推奨されたモードの他に、好みに合わせた組み合わせを見つけるのも面白い。

その上、単なる子ども騙しのものとは程遠い、オートやダイナミック・モードの明確な棲み分けも特筆もの。エグゾースト・ノートの演出もとても上手く、ダブル-クラッチ・ギアボックスの仕事ぶりや、シャシーの引き締まり感も素晴らしい。

筆者の記憶によればゴルフRほどの安定感は持ちあわせていないし、ポルシェケイマンに匹敵するほどのポテンシャルはないけれど、ボディ・コントロールの観点から見ても、不満を感じるようなことは全くなかった。

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