プーマGTE xアルファ・ロメオ1750 GTV ワールドカップ優勝国のクルマ 8台を比較(4)

公開 : 2023.01.02 15:05

イタリア:アルファ・ロメオ1750 GTV

W杯優勝:1934年、1938年、1982年、2006年

ワールドカップでの優勝回数ではブラジルに及ばないが、エモーショナルなクルマ作りでイタリアは揺るがない。代表としたアルファ・ロメオ1750 GTVは、まったく動じる気配はない。

イタリアは第二次大戦前からの優勝経験を持つ古株といえるが、同じくアルファ・ロメオの歴史も長い。自国が誇る美意識と技術が体現されている。

アルファ・ロメオ1750 GTV(1967〜1972年/英国仕様)
アルファ・ロメオ1750 GTV(1967〜1972年/英国仕様)

今回ご登場願ったクルマは、105系のオリジナル。英国仕様で、1968年6月にナンバープレートを取得したシリーズ1に当たる。

デザイナーは、ベルトーネに在籍していたジョルジェット・ジウジアーロ氏。プラットフォームは、サルーンのジュリア用を短縮したもの。1963年にジュリア・スプリントGTとして発売されてから、改良を受けつつ1977年まで美しいスタイリングが継承された。

フロントに載るエンジンは排気量に関係なく、ツインキャブレター付きのオールアルミ・ツインカム。5速MTを介してリアタイヤを駆動し、前後にディスクブレーキも奢られていた。1960年代の基準としては、突出した内容だった。

サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン式、リアがリジッドアクスルながらトレーリングアーム式。前後ともコイルスプリングが支えた。

情熱的に運転したいという気にさせる

先進的な105系として、一気に評価を高めたのが1779ccエンジンを搭載した1750 GTVだった。最高出力は119ps/5500rpm、最大トルクは18.9kg-m/3000rpmとたくましく、0-97km/h加速を11.2秒でこなした。最高速度は189km/hがうたわれた。

大人4名が乗ることができる、インテリアの仕立ても上質だった。フェイクウッド・パネルがあしらわれたダッシュボードには、速度と回転数の大きなメーターが2枚並び、ウッドリムの3スポーク・ステアリングホイールが手前に伸びる。

右からアルファ・ロメオ1750 GTVとプーマGTE
右からアルファ・ロメオ1750 GTVとプーマGTE

センターコンソールが滑らかに展開し、シフトレバーが真横に突き出ている。シートも美しい。1960年代のアイテムではベストの1つだろう。フェラーリ・デイトナを想起させる、リブが並んだ座面や背もたれが、高めのサイドボルスターに挟まれている。

アクセルペダルを一度傾ければ、勢い良く加速を始める。ツイン・ウェーバーキャブレターが勢い良く空気を吸い込み、自ら熱望するように回転数が高まる。5500rpm以上では特に快感。素晴らしいサウンドが一帯に充満する。

右足の操作に対する反応は見事。中回転域でのトルクも豊か。乗り心地は硬めながら、ソリッド感のあるステアリングホイールの感触と相まって、情熱的に運転したいという気にさせる。アルファ・ロメオが決勝へ進まなければ、番狂わせ以外の何物でもない。

それでは、この8台から英国編集部が選んだベストとは。スペックの後にお伝えしよう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・カルダーウッド

    Charlie Calderwood

    英国編集部ライター
  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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