オペル・アダム・ロックス・エア 1.0DIT
公開 : 2014.09.05 23:40 更新 : 2017.05.29 18:30
■どんなクルマ?
ファッショナブルかつ剛健さを予感させるシティカー、というニッチ市場のど真ん中に的を絞ったクルマがヴォグゾールからデビューを果たした。
プレミアムAセグメント・クロスオーバーに幌の屋根を組み合わせたアダム・ロックスに、今のところ直接的なライバルなど見当たらない、と言うのがヴォグゾールの見解だ。
宣伝文句を見る限り、マーケティング上のグレード派生に感じないこともないが、まぁ乗ってみることにしようではないか。
ちなみにこのクルマ、樹脂製のバンパーやフェンダーアーチ・モール、’オールロード’ シャシーなど、いかにも雄々しいルックス変更が施されているが、4WDの設定はおろかトルク・ベクトリングESPなどの機能は用意されていない。
■どんな感じ?
正直に言って、特筆すべき点があったり、興味深い側面を持つクルマではない。ただし新たに採用されたエンジンのおかげで、全くもってダメなクルマと言うわけではない。
そのエンジン。実はヴォグゾールが初めて搭載する3気筒の1.0ℓターボ・ガソリン・エンジンだ。最新版のコルサに搭載するものと同じものである。
最高出力は115ps、最大トルクは17.3kg-mを発揮。0-100km/hタイムは10秒を切るし、CO2排出量も120g/kmを割り込む。日常的な使用における燃料消費率も18km/ℓ台を上回ると言うのだから、プレミアムな小型車としては、なかなかの実力の持ち主である。
エンジンの完成度も高みに達しており、特に洗練の観点では賞賛レベル。アイドリングは静かで、とかくスムーズなのだ。機関に鞭を入れた時のみ息が上がる傾向を見せるが、欠点らしい欠点はそのときだけである。
スロットル・レスポンスには期待するほどの鋭さはないものの、2000rpmから力強いトルクが流れ込んでくる。またここぞと言う時に思い通りの動力を引き出すことができるし、全般的な柔軟性にも富んでいると感じた。
フォードの3気筒エコブーストほど、高回転域での活気が無いのは事実。しかしながらヴォグゾールのそれは、特に低-中回転域で本領を発揮する。これには運転好きなドライバーも満足できるはずだ。