速度を問わない充足感 ケータハム・スーパーセブン 600へ試乗 スズキの3気筒660cc

公開 : 2022.12.29 08:25

クラシカルなスーパーセブンに、スズキの660ccエンジンを積んだ600。熱効率と興奮度の両立を、英国編集部は高く評価します。

オリジナルのロータス・スーパーセブンに近い

ケータハムも、電動化技術へ新たな一歩を踏み出した。それと同時に、古き良きモノを残したいという気概もあることは間違いないだろう。

ロンドンの東、ダートフォードにある本社工場では、バッテリーEV(BEV)の軽量なスポーツクーペの開発が進められる傍らで、内燃エンジンを搭載したスーパーセブンが作り続けられている。2022年でも、その改良の手は止まっていない。

ケータハム・スーパーセブン 600(英国仕様)
ケータハム・スーパーセブン 600(英国仕様)

2021年に発表されたレトロなスーパーセブン 1600は好評を博したものの、1.6Lフォード・シグマユニットの廃盤と同時に消滅した。だがケータハムはそれに代わるモデルとして、最新版となる2000と600を投入した。

スーパーセブン 2000には数か月前に試乗し、心の底から気に入っている。では、小さなエンジンの600の仕上がりはいかがだろう。こちらはオリジナルのロータス・スーパーセブンを、忠実に再現したモデルといってもいい。

1961年、コーリン・チャップマン氏はコスワース・チューンの1.3L 4気筒エンジンを載せたセブンを完成させた。最高出力は86psに過ぎなかったが、素晴らしい走りを叶えていた。

2022年にケータハムが投入した600には、660ccのスズキ製3気筒ターボエンジンが搭載されている。エントリーグレードのセブン 160と同じユニットではあるが、最高出力は85psある。オリジナルと比べて、1ps低いだけだ。

リア・サスペンションは、同じリジッドアクスル式。洗練されたド・ディオンアクスル式は、2000でしか選べない。タイヤ幅は155とコンパクトカー並みに細い。

丁寧に仕立てられ雰囲気の良いインテリア

ケータハムはナローとワイド、2種類のボディをスーパーセブンに提供しているが、600ではナローのみ。とても小柄だが、丁寧に作り込まれている。

車重は470kg。オリジナルと比べて30kg重いものの、現在のモデルラインナップでは最軽量の1つに数えられる。

ケータハム・スーパーセブン 600(英国仕様)
ケータハム・スーパーセブン 600(英国仕様)

クラシカルなフレアフェンダーと、クロームメッキされたヘッドライト・カバーが運転席に座ると見える。ノスタルジックさは満点だ。好ましいボルドー・レッドのノーズコーンが、味わいを増している。

インテリアは丁寧に仕立ててある。バーチ・ホワイトのレザーが張られたダッシュボードには、スミス社製のアナログメーターが並ぶ。クロームメッキのリングが見た目を引き締める。

ステアリングホイールはゴージャスなモトリタで、シフトノブは磨き込まれた球形。細部へのこだわりも忘れていない。これまでのケータハムのなかでも、ベストの仕上がりだと思う。

ナローボディの小さなスーパーセブン 600へ乗るのは、少し難しい。サイドシルとトランスミッション・トンネルの間に、お尻がピッタリと収まる。クルマ好きなら、居心地の良さに笑みが溢れるだろう。

赤いスタートボタンを押すと、3気筒エンジンが静かに目を覚ます。これ見よがしのひと吠えや、騒々しい燃焼音は聞こえてこない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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