好ましい第一印象 ホンダ・シビック(1) クロスオーバーとのコントラスト 長期テスト 

公開 : 2022.12.31 09:45  更新 : 2023.06.29 08:46

SUV人気で従来的なハッチバックは減少傾向。ホンダの意欲作はその流れに一石を投じるのか。英国編集部が実力を確かめます。

初回 魅力的で運転が楽しいハッチバック

「最近は不人気のクラスですが、最も魅力的で運転の楽しいモデルをホンダは投入しました」。新しいホンダ・シビックに対し、英国編集部のマット・プライヤーはこんな意見を以前に述べていた。

そんな経験豊かな先輩にも優れた印象を残す、新しいファミリー・ハッチバックが長期テストに加わった。運転できるのを楽しみにしていたのは、筆者だけではなかったようだ。

ホンダ・シビック 2.0 i-MMD e:HEV アドバンス(英国仕様)
ホンダ・シビック 2.0 i-MMD e:HEV アドバンス(英国仕様)

同僚のクリス・カルマーはシビックを数日も借りて、その仕上がりを堪能した。レイチェル・バージェスも新型の国際発表会から戻るとすぐに、絶賛する言葉を並べていた。わたしも乗り始めて1週間ほどだが、とても好感を抱いている。

長距離通勤を含めて3日間で約770kmの距離をこなしたが、適度なサイズで驚くほど運転しやすい。快適なだけでなく、走りから受ける感触そのものが好ましい。

20年ほど前は、まさかファミリー・ハッチバックの売れ行きが下火になるとは想像もしていなかった。市街地に溢れるクロスオーバーたちと、興味深いコントラストをシビックは描き出している。

走行より発電がメインの2.0Lエンジン

長期テストのホンダ・シビックをご紹介しよう。英国で選べるパワートレインは1択。自然吸気の2.0L 4気筒ガソリンエンジンと2基の電気モーターが組み合わされた、ハイブリッドのみだ。

基本的には183psの駆動用モーターが、殆どの走行を担う。ガソリンエンジンは、専ら駆動用モーターへの電力供給と、駆動用バッテリーの充電を担当。高速域など必要に応じて、フロントタイヤも回す。

ホンダ・シビック 2.0 i-MMD e:HEV アドバンス(英国仕様)
ホンダ・シビック 2.0 i-MMD e:HEV アドバンス(英国仕様)

知的なシステムで、直近の平均燃費は19.5km/Lとなっている。カタログ値は20.0km/Lだから、かなり接近できている。

トランスミッションは、e-CVTという電気式無段変速機が載っている。ただし、エンジンの回転数が不意に上下する、従来的なラバーバンド・フィールは存在しない。高速域でエンジンが駆動を担う場合でも変速はせず、適度なダイレクト感が保たれている。

英国で提供されているトリムグレードは、エレガンスとスポーツ、アドバンスの3段階。英国価格は2万9595ポンド(約491万円)からとお手頃だ。長期テスト車はアドバンスで、3万2995ポンド(約547万円)からになる。

半導体不足が日常化している現在は、オプションの選択肢が絞られている。あれこれ悩む時代は終わったようだ。英国仕様のシビックでは、バンパーのデザインとインテリアの間接照明を除くと、トリムグレードとボディカラーを選ぶだけだった。

長期テスト車に載っているオプションは、プレミアムクリスタル・ブルーメタリック塗装のみで、825ポンド(約14万円)なり。スバルBRZの鮮やかなブルーにも似ている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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