フランスを目指す旅へEVで BMW iX(4) 長期テスト 往復1370kmも事前計画で順調
公開 : 2023.01.01 09:45
エンジンを売りにする上級ブランドが発売した、フラッグシップBEVのiX。英国編集部が長期テストで実力を検証します。
積算8402km BEVでフランスを目指す旅へ
BMW iXでドーバー海峡を渡り、航続距離以上の自動車旅行に挑んだ筆者。初日はフランス・パリの北東、ランスで過ごしたが、翌日は130kmほど南にあるトロワへ向かった。
このトロワはランスより大きい街で、充電器の選択肢も多い。充電ケーブルの接続や支払いは至って簡単だった。ランスからの走行で減ったぶんの充電料金は、12ユーロ(約1800円)。英国ほど、電気料金は高騰していないようだ。
フランスの高速道路は、130km/hが制限速度。一定時間走行したことで、このスピードなら満充電で約370km走れるという、ある程度正確な予測が可能になった。これから英国の自宅まで約570km残っているが、1度の充電で戻る計画を組んでみた。
帰りの充電でベストといえそうな場所が、ユーロトンネルの入口があるカレーの手前、パリの北東に位置するサン・カンタン。トイレ休憩と、フランス最後のコーヒーを味わうのにちょうど良さそうだ。
このサン・カンタンにはテスラ社の急速充電器、スーパーチャージャーが設置されており、BMWも利用可能。iXを195kW近い速さで充電することができた。
テスラもBMWも、充電速度や駆動用バッテリーの状態をリアルタイムで確認できる、スマートフォン・アプリを提供している。充電器へ接続して、すぐ隣のショッピングセンターへ入るまでに、既に5%も充電量が増えていたのには驚いた。
1370kmの移動でも事前計画を立てれば順調
ショッピングセンターのカフェで、怪しいフランス語を駆使してカプチーノを頼んだ頃には、さらに10%増えていた。自宅へ戻るのに必要な85%以上へ回復させようと考えていたが、かなりの速さで実際は30分も掛からなかった。
一方で利用料金はお高め。58kWhの電気を蓄えて、39.4ユーロ(約5800円)を支払った。充電効率と利用環境を考えれば、納得できる価格とはいえるだろう。
さらにホットチョコレートを追加して、フランス北部、ドーバー海峡へ面したカレーへ。
ユーロトンネルを潜る車載列車へも、予定通りに乗ることができた。
グレートブリテン島へ再上陸してからは、少し寄り道しながら自宅を目指したため、距離は約160km。筆者のつたない計算はほぼ正確だったようで、到着した時点での駆動用バッテリーの残量は8%と、余裕を持ってフランスへの自動車旅行を終えた。
今回の旅では、電気不足の不安は一度も抱かずに済んでいる。ガソリンスタンドを事前に調べることはないと思うが、事前に充電場所を計画していたことが大きいだろう。
少なくとも今回は、往復で約1370kmという航続距離を超える移動も、BMW iXなら順調にこなせることを実証できたと思う。予め、代替案も含めた充電計画を立てておけば。
自宅で駆動用バッテリーを100%まで回復させたぶんも含めて、最終的にiXの充電に掛かった費用は98.3ポンド(約1万6000円)。電費効率は4.0km/kWhとなった。