1980年代を象徴する名車 40選 前編 時代に彩られた不朽のヒーローたち

公開 : 2023.01.01 19:05

アウディ・クワトロ

名作と言われる歌や映画と同じように、世界的に有名なクルマを説明するのに言葉はほとんど必要ない。1976年、アウディの技術者たちは、ファミリーカーに四輪駆動方式を採用することを思いつく。しかし、当時ほとんどのオフロード車が商業的でラフなものだったため、このアイデアは上層部にすんなりと受け入れられなかった。

技術者はあきらめずに開発を続け、アウディ80のボディとフォルクスワーゲン・イルティス(軍用車)のドライブトレインを組み合わせたフランケンシュタインのようなクルマを作り上げた。

アウディ・クワトロ
アウディ・クワトロ

こうして、泥まみれのラリーカーとして有名なアウディ・クワトロが誕生し、23回の世界選手権を制覇したほか、市販モデルも発売された。同時代のフェラーリ308 GTBが0-100km/h加速6.5秒であるのに対し、クワトロは6.3秒を記録している。

プジョー205 GTi

ポルシェ928ジャガーXJR-Sといったハイブランドがひしめく中、205 GTiは1980年代を代表する1台として、現在でも語り継がれている。チューニングされたエンジンと軽量化、控えめなデザインで大きな成功を収めた。1984年のモデルは1.6Lエンジンで104psを発揮するが、2年後の1986年には115psにパワーアップしている。

同年、1.9Lで130psというパンチの効いたモデルも登場した。875kgという軽さのおかげで、0-100km/h加速は8秒弱、最高速度は200km/hを超える。巧みなシャシー・チューニングにより、コーナリングを楽しむだけでなく、オーバーステアを誘発することもできた。205 GTiは、派手なエアロパーツがなくても楽しめることを教えてくれるクルマだった。

プジョー205 GTi
プジョー205 GTi

ルノー5 GTターボ

初代ゴルフGTIやプジョー205 GTiが注目を集める中、ルノーからはGTターボが登場した。最高出力117psのGTターボは205 GTi(1.6Lモデル)を圧倒し、チューニングに対する柔軟性の高さもあって、たくさんの改造車が作られ、消費されていった。1986年に英国で放映されたテレビ広告では、0-100km/h加速7.5秒というパフォーマンスを披露している。

1985年のルノー5 GTターボの新車価格は7000ポンド(現在の約2万ポンド)で、翌年に発売されたプジョー205 GTi 1.9Lより1445ポンドも安かった。

ルノー5 GTターボ
ルノー5 GTターボ

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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