1980年代を象徴する名車 40選 前編 時代に彩られた不朽のヒーローたち

公開 : 2023.01.01 19:05

ポルシェ959

1986年、305km/hを超える最高速度で、市販車最速の座に君臨したこのクルマは、今や自動車界のアイコンとなっている。ポルシェ959は、四輪駆動システム、可変トルクスプリット、アダプティブ・ダンピング、ノーメックスやケブラーといった宇宙時代の素材を採用する先進的なクルマだった。2.8Lツインターボフラット6は450psを発生し、0-100km/h加速は3.7秒に達する。

1987年から1988年の間にわずか292台が製造され、オークションに出品された1台は、38万8988ポンド(46万7500ドル、約6200万円)で落札された。2021年のオークションでは、110万ポンド(約1億7000万円)で落札されている。

ポルシェ959
ポルシェ959

フォード・シエラRSコスワース

シエラRSコスワースは、フォードをツーリングカーレース選手権のトップに押し上げるために作られたが、最終的には世界のスーパーカーと争うホモロゲーションモデルとなった。ターボチャージャー付き2.0Lエンジンがフロントに搭載され、リミテッドスリップデフを介して後輪に207psを伝達、0-100km/h加速6.2秒、最高速度230kmを達成した。

15インチのマルチスポークホイールに、特徴的なホエールテールスポイラー、大きく膨らんだボディ、熱気を逃がすためのボンネットベントを備えている。1987年には、500台限定のRS500が発表された。

フォード・シエラRSコスワース
フォード・シエラRSコスワース

フィアット・パンダ

フィアットは1980年から2003年までの間に450万台以上のパンダを生産した。開発当初、「ルスティカ(Rustica)」という車名がつけられる予定だったが、土壇場でパンダに変更され、大衆向けの質素な低価格車として登場した。

はじめは903ccの4気筒エンジンを搭載していたが、パンダ・ハビタットや1990年のFIFAワールドカップ・イタリア大会を記念したパンダ・イタリア90など、さまざまな特別仕様車が設定され、年を追うごとにラインナップが充実していった。

フィアット・パンダ
フィアット・パンダ

トランスミッションは4速MTであったが、1983年に5速に変更。パンダの軽量ボディを生かした4×4仕様は好評を博した。

ランチア・デルタ・インテグラーレ

デルタ・インテグラーレは、日常的に乗ることのできるクルマではあるが、運転は特別なイベントとなるだろう。四角いプラスチック製パーツで覆われたキャビンには、2.0L直列4気筒ターボが鳴り響き、8ダイアルのアナログダッシュボードには回転数からターボのブースト圧までが表示される。1983年にHFがリリースされ、1986年にはHF 4WDも登場した。

1980年、デルタは欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞。デルタ8Vラリーカーは1987年から1992年のWRCで6連勝を達成している。

ランチア・デルタ・インテグラーレ
ランチア・デルタ・インテグラーレ

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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