1980年代を象徴する名車 40選 前編 時代に彩られた不朽のヒーローたち
公開 : 2023.01.01 19:05
サーブ900ターボ
その昔、フューエルインジェクションや四輪駆動を持つクルマはあっても、ターボを載せたクルマは少なかった。1978年に発売された900ターボは、流線型のボディ、ファストバックスタイル、602Lの大容量トランク、そして145psの出力を備えていた。
1985年に改良された16Vエンジンは175psを発揮し、0-100km/h加速はわずか6.9秒と、今日の水準から見ても優秀なものであった。
1981年以降の車両には3速ATが搭載され、またエンジンにダメージを与えることなく異なる燃料グレードを使用できるオートマチック・パフォーマンス・コントロールも導入された。1983年には業界初となるアスベストフリー・ブレーキを採用。20年間で90万8817台が生産され、その約4分の1がターボであった。
トヨタMR2
1989年、AUTOCAR英国編集部は「英国で最もハンドリングが良いクルマ」を見つけるためにサーキットに通い詰め、たくさんの最新モデルをテストした。候補に選ばれたのは、フェラーリ328 GTB、ランチア・デルタ・インテグラーレ、ポルシェ944 S2、メルセデス・ベンツ190E 2.3-16、トヨタMR2であった。結果としてポルシェ944が優勝したものの、MR2を振り切るのは至難の業だった。
1970年代の石油危機の中、トヨタは燃費の良いスポーツカー、MR2を投入する。初代MR2は、最高出力130psの1.6L直4エンジンを搭載し、7600rpmというフェラーリ並みの回転数を誇った。トヨタAE86のようなポップアップ式ヘッドライト、フェラーリのようなCピラー、ベント付きのバックエンドなど、ユニークなスタイリングが特徴的な1台だ。
ランチア037ストラダーレ
1982年の世界ラリーでは、ヴァルター・ロールがステアリングを握るアウディ・クワトロが圧倒的な強さを誇っていた。しかし、そのわずか1年後、ランチアは037と呼ばれる二輪駆動車で王座を奪い返す。現在もなお、ラリー史上唯一、二輪駆動車が四輪駆動車を破った記録を保持している。
強化ガラス繊維ケブラーを使用し、わずか1170kgの重量を実現。207台のホモロゲーションモデルが生産された。ミドマウントのスーパーチャージャー付き2.0Lエンジンは255psを発生し、ラリー仕様では330psに迫った。2019年、037グループBラリーカーが100万ポンド(約1億6000万円)強で落札されている。