個性豊かなEVクロスオーバー プジョーe-2008へ試乗 フェイスリフトで航続距離1割増し
公開 : 2022.12.31 08:25
登場から数年を経て、フランスのEV小型クロスオーバーが小変更。エネルギー効率を高めた最新版を英国編集部が評価しました。
低い回転数で高い速度が出せるギア比に
徐々に競争の激しさが増している、バッテリーEV(BEV)のコンパクト・クロスオーバー。AUTOCARでも毎月のように、マイナーチェンジ版も含めて、新しいモデルをご紹介している。ヒョンデ・コナEVしかり、MGモーター MG4しかり。
これだけ新陳代謝の良いセグメントになると、常に新鮮さが求められる。プジョーが販売数を維持するために、e-2008へモデルライフ中期のアップデートを施しても不思議ではない。小さな改良が、大きな結果へ結びつくことも多い。
プジョーを傘下に収める巨大なステランティス・グループは、BEV用パワートレインと駆動用バッテリーの技術革新へ積極的に取り組んでいる。その成果を、量産モデルへ展開しないのはもったいない。
コンパクト・ハッチバックのプジョーe-208やヴォグゾール(オペル)・コルサ・エレクトリックは、マイナーチェンジを受けている。AUTOCARでも先日ご紹介したから、ご存知の読者はいらっしゃるだろう。
このe-2008でも、e-208に準じる改良が施された。最高出力136psの駆動用モーターは不変だが、ファイナルレシオがロングになり、低い回転数で高い速度が出せるようになっている。
149km/hの最高速度自体に変わりはないものの、電費効率の向上にはつながる。転がり抵抗の少ない新しいタイヤも履いている。
航続距離は1割増しの343kmへ
エアコンはエネルギー効率の良いヒートポンプ式になり、換気や温度調整に役立つとプジョーが説明する、湿度センサーも追加された。真冬でもヒーターの利用をはばかることが減り、快適性を高められる。
これらの小さな改良によって、航続距離はカタログ値で310kmから343kmへ1割伸びている。現実環境では、理想的な条件で丁寧に運転すれば1度の充電で300kmくらいは走れると考えていい。
驚くほどの伸び率ではない。だとしても、現在のBEVでは航続距離が長いほど利便性に直結してくる。
急速充電能力は最大で100kWとなり、これは従来どおり。駆動用バッテリーの容量は50kWhで変わらない。同じ充電時間でも、更に遠くまで走れるようになったわけだ。
といっても、アップデート後のe-2008を運転してみても、変化に気がつくことは難しい。低い回転数で動くようになった駆動用モーターは、巡航速度で洗練性を高めている印象だが、乗り比べれは分かる程度。
e-2008は、穏やかで快適に移動できるコンパクト・クロスオーバーだ。姿勢制御も全般的に優れている。高速道路の速度域に達すると、若干ふわついた動きを見せることがあるけれど。
小径なステアリングホイールが低い位置へ伸びる、プジョー流のiコクピット・レイアウトも継続して採用されている。モニター式のメーターパネルが、ダッシュボードの高い位置に据えられる。