わたしの愛した12台 元マクラーレンCEOの人生を変えたクルマとは 生粋のエンスージアストが選ぶもの

公開 : 2023.01.02 19:05

ロータスエラン+2S 130/5(1972年)

フォードに在籍中、フルウィットはロータスというブランドに対して生涯捨てることのできない愛情を抱くようになった。ロータスの創始者であるコリン・チャップマンが放つ独特のオーラに魅了されたのだ。

「ブルース・マクラーレンと同じように、彼はエンジニアであり、偉大なリーダーであり、ビジネスマンであり、素晴らしいドライバーでした。今では分業するようなことも、全部こなしてしまうんです」

ロータス・エラン+2S 130/5
ロータス・エラン+2S 130/5

フルウィットはまた、比類なきレーシングドライバー、ジム・クラークの魔法にかかる。彼のハンドルさばきは絶妙で、あまりに自然だったため、内気なクラークはなぜみんなも同じようにできないのか理解できなかった。フルウィットがヘラルドからミニに乗り換え、3年間ロータス・エラン+2S 130/5(イエロー、トップはメタルフレークイエロー)を所有することになったのは自然な流れだったようだ。

「当時の雑誌、特に『Practical Classics』では、ロータス・エランがいかに素晴らしいかばかりが書かれていましたね。世界で一番いいクルマ、という響きがありました。わたしのエランは1973年の5速モデルで、10年ほど古いモデルですが、とても気に入っていました。感心することばかりだったんです。いつも修理が必要なところがあったので、リバプールとダントン(エセックス州)を往復しながら、路上で作業していましたよ」

ボルボC70クーペ(1996年)

フォード在籍は1990年代半ばに終わり、今度はロールス・ロイスで、近々発売されるシルバーセラフ(およびベントレーミュルザンヌ・ターボ)の製造システムを革新する仕事を任された。そこで新たに頭角を現し、スウェーデンのウッデバラ市でボルボC70を製造するために設立されたAutonova社から、自動車製造事業の運営を依頼される。

この会社は、ボルボとTWRで有名なトム・ウォーキンショーの共同所有していたもので、フルウィットはすぐにそのチャンスを掴んだ。そこで、ライン作業員として入社した妻ミアに出会う。彼女はエンジニアとしての訓練を受け、製造の中心的な役割を担うようになった。

ボルボC70クーペ
ボルボC70クーペ

「V70のプラットフォームでつくられた快適なGTです。初期には問題もありましたが、最終的には年間1万5000台を販売するまでになりました。わたし達は2台所有しており、最初はクーペ、そして1999年末に発売されたコンバーチブルを購入しました」

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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