クロストレックのライバル キア・エクシードへ試乗 人気は銘柄3番手 コスパ良し

公開 : 2023.01.10 08:25

動的能力の洗練度はほどほど

今回試乗したのは、1.5Lガソリンターボのエクシード。新しいファミリーカーで6速MTが載っていることに新鮮さを覚えるが、想像以上にシフトフィールは好ましい。軽くシフトレバーを倒せ、ストロークも短く、テキパキと次のギアを選べる。

小柄なエクシードだが、郊外の道を颯爽と走るにはエンジンを頑張らせる必要がある。ブースト圧を得るには回転数を高めることになり、160psあるとは実感しにくい。3000rpm以下では線が細く、坂道発進には気を使った。小気味良い6速MTが役に立つ。

キア・エクシード(英国仕様)
キア・エクシード(英国仕様)

それでいて燃費は良好。15.0km/L近くへ伸ばすことも難しくない。

動的能力の洗練度はほどほど。乗り心地は硬めで、舗装の剥がれた穴を通過すると明確に振動が伝わってくる。ミドルグレードの16インチホイールなら角を丸められると思うが、見た目が伴わない。

ステアリングホイールへの入力に対する反応は良好ながら、手のひらにはグリップ状態が伝わってこない。手応えにも一貫性が若干足りない。サスペンションは、フロントよりリアの方が柔らかく感じられた。

カーブでペースを速めていくと、スタビリティ・コントロールが介入する前にフロントタイヤが外へ逃げてしまう。コーナリングは得意ではないようだ。

少なくとも高速道路では、姿勢制御が落ち着き安定する。運転支援システムは有能で、ありがたいと感じるドライバーは多いだろう。しかし、MTのエクシードではアダプティブ・クルーズコントロールを選択できないのが残念だ。

キアの人気トップ3を維持できる改良

エクシードの英国価格は、エントリーグレードで2万3345ポンド(約387万円)から。試乗したGTライン Sでは3万345ポンド(約503万円)へ上昇する。PHEVは3万2945ポンド(約546万円)となる。

このクラスのハッチバック・ベースのクロスオーバーは、実はさほど選択肢が多くない。直接的なライバルはスバル・クロストレックになるだろう。ほかには、フォルクスワーゲンTロックトヨタCH-RといったSUVが対立候補になるが、価格はより高い。

キア・エクシード(英国仕様)
キア・エクシード(英国仕様)

比較すれば、比較的手頃なエクシードはコストパフォーマンスに長ける。フェイスリフト後も、キアの人気トップ3を英国では維持することになるだろう。

キア・エクシード(英国仕様)のスペック

英国価格:3万345ポンド(約503万円)
全長:4395mm
全幅:1826mm
全高:1483mm
最高速度:207km/h
0-100km/h加速:8.7秒
燃費:15.9km/L
CO2排出量:−
車両重量:1370kg
パワートレイン:直列4気筒1482ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:160ps/5500rpm
最大トルク:25.8kg-m/1500-3500rpm
ギアボックス:6速マニュアル

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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