何か良いことあった? 2022年振り返り 海外の自動車ライターが選ぶ「最高の思い出」

公開 : 2022.12.31 15:05

スティーブ・クロプリー

わたしにとって今年最大の収穫は、正真正銘の天才、マテ・リマック氏(リマックの創業者)とクロアチアで2、3日一緒に過ごしたことだ。彼には、2022年のAUTOCARアワード最優秀賞を授与したのだが、その知らせと受賞者インタビューを行うために彼の地へ赴いたのだ。

リマック氏がまだ、賢いけれども貧乏な若者で、内燃機関の交換品が高価すぎるという理由で電気モーターを取り付けたボロボロのBMW 3シリーズをいじくり回していた頃から、まだ10年も経っていない。

新会社ブガッティ・リマックを率いるマテ・リマックCEO(写真右)は、まだ30代でありながら落ち着いている。
新会社ブガッティ・リマックを率いるマテ・リマックCEO(写真右)は、まだ30代でありながら落ち着いている。

信じられないことに、そこから得た教訓と彼が集めたチームは、ポルシェヒョンデといった優良企業が出資する、他に類を見ない高成長企業を築き上げた。今日、リマック氏がブガッティ(新会社ブガッティ・リマック)を経営しているのは、経験は豊富だがビジョンの乏しいビジネスマンではブガッティを存続させることができないからだ。

そんな立場にあって、リマック氏は平常心を保っている。今年に限らず、素晴らしいことだと思う。

チャーリー・マーティン

長年のエンスージアストでありながら、AUTOCAR英国編集部の比較的新しいメンバーとして、パリ近郊にあるDSのデザイン本部を訪れ、その将来計画について推し量る機会を得たことに、わたしはとても興奮している。

現時点では報告できることは多くない。しかし、近年の大型タッチスクリーンに代わるDSの提案として、2019年に作成されたインテリアコンセプトを見ることができた。それは決して大量消費を目的としたものではなく、真に先進的なものだった。

DSの先進的なインテリア構想に未来を感じた。
DSの先進的なインテリア構想に未来を感じた。

もしこれが、今後数年間にDSや業界全体に起こりうる抜本的な改革を示しているなら、クルマはこれまでと同様に革新的で刺激的であり続けるだろうと楽観的に考えている。

ジャック・ウォリック

グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード(英国最大級の自動車イベント)を英国人ライターのハイライトとして選ぶのは当然のことかもしれないが、今年は自動車業界の輝かしい一面を見事に表現した素晴らしいフェスティバルだったと思う。

内燃機関ファンであろうとバッテリーのファンであろうと、BMW Mを主役に据えた今年のフェスティバルは最高に楽しめたのではないだろうか。BMW 3.0 CSLのセントラル・フィーチャー(広場に掲げられるモニュメント)を見ることができたのは素晴らしいの一言に尽きる。

今年のフェスティバル・オブ・スピードの主役は、創立50周年のBMW Mだった。
今年のフェスティバル・オブ・スピードの主役は、創立50周年のBMW Mだった。

そしてもちろん、取材の機会もたくさんあった。例えば、ジョン・ヘネシー氏に最高出力2400psの6輪車「ディープ・スペース」について話を聞いたり、ポールスターO2コンセプト(後にポールスター6と呼ばれる)の発表会でブランドの方向性についてトーマス・インゲンラートから興味深い洞察を得たりした。

先にレイチェル・バージェスが述べたように、伝統的な「モーターショー」は衰退しつつあるかもしれないが、フェスティバル・オブ・スピードの存続を願ってやまない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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