フェラーリ296 詳細データテスト 魅力的なサウンド 比類なきハンドリング 驚異のパフォーマンス

公開 : 2022.12.31 20:25  更新 : 2023.01.05 01:51

快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆

英国の路上において296GTBが、V12スーパーGTモデルの812スーパーファストより優れた追従性を発揮するケースがある。もちろんそれは、A級道路ではるかになめらかな走りを見せるということでもある。それは、お好みのしなやかさが選べる標準装備の磁性流体ダンパーを、よりソフトなモードにした場合だ。

そうでなくても、このクルマは総じて無駄な神経質さがなく、路面をなぞりながらも不整の為すがままになることは決してない。走行中の静粛性はアルトゥーラに一歩譲るが、長距離を走る際には興奮や動揺を感じさせず、並外れて速いスーパーカーに乗っていることを忘れてしまいそうになるくらいだ。マクラーレンでは、そうはいかない。

標準仕様のダンパーとシートなら、快適に普段使いできる。しかし、オプションのカーボンバケットやスポーツダンパーは、乗り心地に我慢を強いられる場合がままある。
標準仕様のダンパーとシートなら、快適に普段使いできる。しかし、オプションのカーボンバケットやスポーツダンパーは、乗り心地に我慢を強いられる場合がままある。    LUC LACEY

日常的に乗りたいのなら、シート選びは念入りに行ったほうがいい。カーボンのバケットは見た目こそファビュラスだが、硬いうえにランバーサポートがないので、長く座っていると身体にこたえる。標準仕様のシートならばすっぽり包み込んでくれて、街乗りなら十分以上のサポート性があり、しかも長時間乗っていても快適だ。

また、アセット・フィオラノパッケージの固定式マルチマティックダンパーについても、よくよく必要か考えたほうがいい。たいていの場合には、驚くほど楽に乗りこなせるのだが、路面が荒れた場所では乗り心地がキツく、盛大にノイズや振動を伝えてくる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事