オールシーズンタイヤの今 進化を続けるドライ/ウェット性能 新・旧ベクター4シーズンズを比較

公開 : 2022.12.29 21:15  更新 : 2023.04.28 19:45

コーナリング性能について

また、コーナーではステアリング操作に対する反応が、新製品のほうが頼もしく感じた。

それはクローズドコースでのパイロンスラロームでより顕著に感じられた(リーフで比較試乗)。

コーナリング性能も新・旧を比較。その差は、「パイロンスラロームで顕著に感じられた」と筆者。
コーナリング性能も新・旧を比較。その差は、「パイロンスラロームで顕著に感じられた」と筆者。    宮澤佳久

従来品は反応が少し鈍く、追い込んでいくとタイヤが負けてしまう感じだったが、新製品はステアリングの切り始めからしっかり感があり、切り増していったときのビルドアップも確か。

「舵の効き」が確実に上がっていてスポーティな走りにも対応していた。

いかにも外側のブロックが強固だという感覚だ。オールシーズンタイヤゆえの物足りなさが払拭されている。

雨天 カムリ/ハリアーで比較

ウェットのブレーキテストではカムリで“ベクター4シーズンズGEN-3”と従来品、ハリアーでベクター4シーズンズGEN-3 SUVとSUV用従来品をそれぞれ比較。

60km/hで進入してフルブレーキで停止するまでの距離をGPSの計測器で3回づつ測ったところ、カムリは従来品が19.8m、19.7m、20.1m、新製品が18.2m、17.7m、17.9m、ハリアーは従来品が18.68m、18.62m、18.79m、新製品が16.42m、16.73m、16.81mという結果だった。

グッドイヤーのSUV用オールシーズン銘柄「アシュアランス・ウェザーレディ」も、このタイミングで代替え。プレミアムオールシーズンタイヤの「ベクター4シーズンズGEN-3 SUV」がその役割を継ぐ。
グッドイヤーのSUV用オールシーズン銘柄「アシュアランス・ウェザーレディ」も、このタイミングで代替え。プレミアムオールシーズンタイヤの「ベクター4シーズンズGEN-3 SUV」がその役割を継ぐ。    宮澤佳久

どちらも順当に新製品の進化が感じられ、グリップ感も高まっていた。

興味深いのはハリアーのほうが進化の幅が大きく、またカムリに比べてもブレーキの初期からグッと減速してくれる頼もしさがあったことだ。

進化幅は、従来品の世代の違いによってSUVのほうが大きいのだろう。

また、ベクター4シーズンズGEN-3 SUVは、車両重量や重心の高さを考慮してトレッドゴムの下にあるオーバーレイヤーを多層化していることで剛性感が高まっているようだ。

サマータイヤ性能に「楽しさ」も

Polymadeと呼ばれる層をパッセンジャーカー用は1枚のところSUV用は2枚。

この素材は、強固だけれどしなやかさも併せ持つもので、タイヤに限らず様々な製品に使われている。

各社がラインナップを揃え始めたオールシーズンタイヤ。市場を開拓してきたベクター4シーズンズはGEN-3になった。とりわけ、ハンドリングと静粛性能のアップデートは見所と覚えておこう。
各社がラインナップを揃え始めたオールシーズンタイヤ。市場を開拓してきたベクター4シーズンズはGEN-3になった。とりわけ、ハンドリングと静粛性能のアップデートは見所と覚えておこう。    宮澤佳久

シトロエンベルランゴアウディA4では高速道路を走行したが、直進安定性は平均的なサマータイヤとかわらず、オールシーズンタイヤゆえの頼りなさはなかった。

ベクター4シーズンズGEN-3とベクター4シーズンズGEN-3 SUVのサマータイヤ性能が向上しているのはたしかだ。とくに、ドライのハンドリングや静粛性の高さは見事で、走る楽しさ・快適性が加わったことが大きい。

従来品のベクター4シーズンズ・ハイブリッドでも機能的には十分だが、+αの価値が得られるのがプレミアムオールシーズンタイヤたる所以なのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    石井昌道

    Masamichi Ishii

    1967年生まれ。自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。ワンメイク・レースへの参戦も豊富で、ドライビング・テクニックとともにクルマの楽しさを学んできた。国産車・輸入車のいずれの知識も幅広く、ジャンルを問わない執筆活動を行う。最近では、エコドライブの研究、それを一般ドライバーへ広く普及させる活動に力を入れている。
  • 撮影

    宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。

ベクター4シーズンズの進化を探るの前後関係

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