信頼性が玉に瑕 ランドローバー・レンジローバー(L405) 快適性で報いる 英国版中古車ガイド

公開 : 2023.01.07 08:25

大柄でも扱いやすく高級車らしい乗り心地

ボディサイズは全長4999mm、全幅1983mm、全高1835mmと大柄だが、路上で扱いやすい点がレンジローバーの強み。外界との隔離性は極めて高い。エンジンを問わず、走りは至ってスムーズだ。

4代目に標準装備されたクロスリンク・エアサスペンションが、高級車に相応しいトップクラスの乗り心地を実現させている。カーブでは車重が2.1tを超えるSUVだと実感するが、想像以上に敏捷に旋回することにも感心するはず。

ランドローバー・レンジローバー(L405/2013〜2021年/英国仕様)
ランドローバー・レンジローバー(L405/2013〜2021年/英国仕様)

車内空間にはゆとりがあり、リアシートには大人3名が不満なく過ごせる広さがある。希望すれば、市場によってはロングホイールベース版も指定することができた。

荷室も大きい。数名分の海外旅行の荷物や大きなベビーカーを難なく詰める。ゴルフクラブ・バッグも、数名分を載せられる。

ただし、歴代モデルと同様に高くない信頼性を4代目も受け継いでいる。慎重に状態を見極め、幸運を祈りながらベストの1台を選ぶしかない。可能であれば、保証も付帯した方が無難だろう。快適に長距離をこなす能力が、オーナーを報いてくれるはずだ。

知っておくべきこと

英国市場を眺めてみると、4代目レンジローバーの中古車価格は初期型で2万3000ポンド(約381万円)から。2015年式で3万ポンド前後(約498万円)、2019年式で5万ポンド(約830万円)、2021年式では7万ポンド(約1162万円)以上は見込んでおきたい。

燃費が最も良好なのはPHEVのP400e。電気だけで最長49km走行できる。日常的に走る距離が多い場合は、16.1km/Lがうたわれている3.0L V6ディーゼル・ハイブリッドが狙い目。非ハイブリッドの3.0L V6ディーゼルでは11.2km/Lだ。

ランドローバー・レンジローバー(L405/2013〜2021年/英国仕様)
ランドローバー・レンジローバー(L405/2013〜2021年/英国仕様)

V8スーパーチャージド・ガソリンは、カタログ値でも7.8km/Lに留まる。現実世界では、ここまで伸びないはず。

購入時に気をつけたいポイント

信頼性

4代目となるL405型では、エアサスペンションにエンジン、エアコンやナビなどの電装系、トランスミッション、ドライブトレインなど、広範囲で不具合が報告されている。エンジンオイルの漏れは想定内。

多くの不具合に関する情報は、インターネット上でも確認できる。簡単に治るものもあれば、数週間を掛けた修理が必要な内容もある。

ランドローバー・レンジローバー SVオートバイオグラフィ(L405/2015〜2021年/英国仕様)
ランドローバー・レンジローバー SVオートバイオグラフィ(L405/2015〜2021年/英国仕様)

姉妹サイトの信頼性調査では、4代目レンジローバーは高級SUVのカテゴリーで9モデル中6位にランク付けされている。ランドローバー・ブランド自体は、30社中29位と振るわない。

ボディ

ボディの製造品質は完璧とはいえない。サンルーフやテールゲートから雨漏りする可能性があるため、念のためしっかり観察したい。

英国編集部の推しチョイス

ベスト:3.0L TDV6

4代目レンジローバーでは最も賢明で、幅広く能力に優れたグレード。V6ディーゼルエンジンはトルクが太く高速巡航を穏やかにこなせ、必要に応じて不足ないパワーを引き出せる。中古車価格も手頃で、ロンドンの市街地で見かける機会も多い。

ワイルドカード:5.0 V8 S/C SVオートバイオグラフィ・ダイナミック

先代で最もワイルドなレンジローバーをお探しなら、こちら。豪快なV8スーパーチャージャーにローダンサスペンション、最上級のインテリアが組み合わされたキング・オブ・レンジだ。

ランドローバー・レンジローバー SVオートバイオグラフィ(L405/2015〜2021年/英国仕様)
ランドローバー・レンジローバー SVオートバイオグラフィ(L405/2015〜2021年/英国仕様)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ピアソン

    Mark Pearson

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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