実はジャンボと同期生 ランドローバー・レンジローバーとボーイング747 生産終了を記念 後編

公開 : 2023.01.07 09:46

BEVのレンジを積んで飛ぶ日も近い

「747の操縦性は素晴らしいです。乱気流でも一気に乗り切れますし、安全性も非常に高い」。と話すシグソーソンは、ジャンボジェットを愛している。

「かつて、フェラーリのレーシングチームの機材を輸送中に、ジェットエンジンが爆発した事がありました。上空でUターンして、飛行場へ無事に着陸。別の機体に荷物を載せ替え、再び飛び立ったのは忘れられません」

ホワイトの初代ランドローバー・レンジローバーとブラックの5代目
ホワイトの初代ランドローバーレンジローバーとブラックの5代目

今日のシグソーソンは、アゼルバイジャンから荷物を積んで着陸したばかり。2時間半で荷物を載せ替え、カスピ海へ面した国へ戻るという。5時間のフライトが待っている。

イースト・ミッドランズ空港は、航空貨物の取り扱い量で英国最大の規模を誇る。1日当りに処理する荷物は100万個以上。年間では44万2000tに達するらしい。シグソーソンにとっては、ありふれた英国でのトランジットになる。

「ノーズが大きく開く747の貨物機は、航空会社にとって極めて価値の高い、有用な存在です。今後何年間も運用したいと考えるでしょうね」。と彼は考えている。

ジャンボジェットが、旅行者を乗せる時間はあと僅かかもしれない。だが、当面は沢山の荷物を運んで世界中を飛び回ることになるようだ。BEVのレンジローバーを積んで飛ぶ日も、そう遠くはないだろう。

番外編:英国最古の正規ディーラー、スタージェス

スタージェス・ランドローバーは、1904年にローバーのディーラーとして登録された。1948年にランドローバー、現在のディフェンダーが発売されると、オフロードモデルを扱うようになった。それ以来、同社の各モデルを販売している。

スタージェスで営業部門を率いるクリス・スタージェス氏は、英国ではブランドとの関係性が最も深いと主張する。1970年に初代レンジローバーが発売されて以降、数千台をオーナーのもとへ届けてきた。

ランドローバー・レンジローバー(5代目/英国仕様)
ランドローバー・レンジローバー(5代目/英国仕様)

現在は、中古車を含めて年間200台前後を取り扱っている。「当初、多くのユーザーは明確な目的意識を持ってレンジローバーを購入していました。しかし近年は、ニーズが多様化しています。クルマもそれに合わせて進化しています」

「現在のレンジローバーのユーザー層は幅広い。BEV化されることで、これまで購入を検討してこなかった層にも響くようになるでしょうね」

ジャンボジェットとレンジローバーのスペック

ボーイング747-100

英国価格:40万ポンド(1970年時)
全長:70.6m
全幅:59.6m
全高:19.3m
巡航速度:約900km/h
0-100km/h加速:−
燃費:約4.0L/s
航続距離:9800km
CO2排出量:−
機体重量:16万8202kg
パワートレイン:プラット&ホイットニーJT9D-3ターボファンx4
使用燃料:ジェット燃料
最高推力:209kNx4
最大トルク:−
ギアボックス:−

ランドローバー・レンジローバー(初代/1970〜1996年/英国仕様)

英国価格:1528ポンド(1970年時)
全長:4470mm
全幅:1778mm
全高:1778mm
最高速度:146km/h
0-100km/h加速:−
燃費:5.1km/L
CO2排出量:−
車両重量:1758kg
パワートレイン:V型8気筒3528cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:137ps/4750rpm
最大トルク:−
ギアボックス:4速マニュアル

ランドローバー・レンジローバー(5代目/英国仕様)

英国価格:14万3920ポンド(約2389万円)
全長:5052mm
全幅:1990mm
全高:1870mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.6秒
燃費:8.6km/L
CO2排出量:265g/km
車両重量:2551kg
パワートレイン:V型8気筒4395ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:530ps/5500-6000rpm
最大トルク:76.3kg-m/1800-4600rpm
ギアボックス:8速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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