1954年のクラス優勝マシンを再現 ブリストル450ル・マン 異彩のツインフィン 後編

公開 : 2023.01.21 07:06

レース撤退とともに破壊された450ル・マン

レース本番、3台は順調に周回を重ねた。深夜にはライバルマシンを避けるためジャック・フェアマン氏がコースアウトするが、ダメージは最小限で済み、すぐにコースへ復帰した。

24時間後の午後4時、3台の450ル・マンはほぼ同時にゴールラインを通過。35号車が総合7位に入り、1500-2000ccクラスを優勝。33号車は総合8位、34号車は9位という好成績を掴んでいる。

ブリストル450ル・マン(1954年仕様の再現モデル)
ブリストル450ル・マン(1954年仕様の再現モデル)

1955年、密閉されたコクピットに轟音や熱、湿気がこもるというドライバーからの報告を受け、450ル・マンはロードスターにコンバージョンされる。ルーフのないボディはさらに速く、翌年もクラス優勝を果たした。

しかし、ピエール・レヴェグ氏がドライブしたメルセデス・ベンツが悲惨な事故を引き起こし、1955年のル・マンは明るい幕切れとはならなかった。ブリストル・カーズのワークスチームは、賞金を犠牲者の義援金に当てた。

失敗に終わったブラバゾン旅客機の影響で、航空機事業の経営が悪化していたことが重なり、数週間後にブリストルはモータースポーツから撤退。シャシー番号11の1台を除いて、450ル・マンは破壊されてしまった。

執筆:Serge Cordey(セルジュ・コルディ)/Christophe Gaillard(クリストフ・ガイヤール)
撮影:Patrick Leveque(パトリック・レヴェック)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

1954年のクラス優勝マシンを再現 ブリストル450ル・マン 異彩のツインフィンの前後関係

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