3モーターで761ps マセラティ・グラントゥーリズモ・フォルゴーレ 試作車へ試乗 航続450km

公開 : 2023.01.06 08:25

いよいよ本格的にBEVへ舵を切った、マセラティのグランドツアラー。期待の試作車へ英国編集部が試乗しました。

BEV版も登場した2代目グラントゥーリズモ

マセラティの復活は、素晴らしいデザインの魅力的なクーペで始まりました」。10年以上前、先代のグラントゥーリズモが発表された時にAUTOCARはこう記した。

さらに続く。「しかし、動的能力は少々期待はずれ。信頼性にも疑問符が残ります」。筆者の言葉ではない。

マセラティ・グラントゥーリズモ・フォルゴーレ・プロトタイプ
マセラティ・グラントゥーリズモ・フォルゴーレ・プロトタイプ

だが2023年の今回は違う。見事な完成度のスーパーカー、MC20で新しい章の始まりを2022年に告げている。今度のマセラティは、本当に復活を遂げることになるだろう。

その勢いを保つべく、美しい2ドアクーペが発表された。筆者が試乗する機会を得た、グラントゥーリズモ・フォルゴーレだ。

見た目は、2007年から2019年に生産されていた先代に近いものの、メカニズムはまったく異なる。パワートレインには3種類が用意される。MC20のV6ツインターボ・エンジンを搭載した2種類と、バッテリーEV(BEV)から選べる。

英国価格は、V6ツインターボ版のグラントゥーリズモで約13万ポンド(約2080万円)から。BEV版のグラントゥーリズモ・フォルゴーレは、約19万ポンド(約3040万円)からが予想されている。

全長は4959mm、全幅が1957mm、全高が1353mmというサイズを持ち、ロングでワイド。リアに大きな荷室を備える4シーターとなる。車重はBEV版で2260kgあり、V6エンジン版より450kgも多い。

ボディは全体の65%がアルミニウム製。残りはスチールとマグネシウムが適材適所で用いられている。サスペンションは、フロントがダブルウイッシュボーン式。リアは5リンクのマルチリンク式で、エアスプリングが支える。

トリプル・モーターで761ps 航続は450km

V6エンジンの場合、従来と同様にフロントエンジン・リアドライブというレイアウト。BEV版のフォルゴーレでは、フロント側にディファレンシャル付きの駆動用モーターが1基、リア側に左右個別に2基が搭載されるトリプル・モーターとなる。

駆動用バッテリーの容量は、83kWh。トランスミッション・トンネル内とリアシートの下部に、T字型に搭載される。電圧800Vのシステムで、急速充電能力は最大270kWに対応するという。航続距離は最長450kmが想定されている。

マセラティ・グラントゥーリズモ・フォルゴーレ・プロトタイプ
マセラティ・グラントゥーリズモ・フォルゴーレ・プロトタイプ

駆動用モーターの最高出力は1基あたり407psがうたわれ、単純計算ではシステム総合で1221psになる。だが駆動用バッテリーの給電能力が追いついておらず、761psに制限される。といっても、まったく小さな数字ではない。

駆動用モーターを個別に制御することで、リアの2基で761psを発揮させることも可能。フロントの駆動用モーターは、50%まで受け持つことができるそうだ。最大トルクは137.4kg-mに達する。

今回AUTOCARが試乗したのは、グラントゥーリズモ・フォルゴーレのプロトタイプ。試作段階ということで、イタリアンなインテリアをお見せすることは許されていない。

お伝えできる範囲では、ソフトなレザーが丁寧に縫い合わされており、ドライビングポジションは良好。2面のタッチモニターに多くの機能が集約されており、グラフィック自体は美しい。期待通り、高級感には事欠かない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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