3モーターで761ps マセラティ・グラントゥーリズモ・フォルゴーレ 試作車へ試乗 航続450km

公開 : 2023.01.06 08:25

息を呑むほどの鋭いで旋回していく

ステアリングホイールのスポーク部分には小さなダイヤルが付いており、ドライブモードを切り替えられる。航続距離を最長にするマックスレンジのほか、GT、スポーツ、コルサ(レース)から選べる。

シリアスなモードを選ぶほどサスペンションが引き締まり、ステアリングホイールの重みが増す。スタビリティ・コントロールの出番が控えめになり、高音の響きも多くなる。

マセラティ・グラントゥーリズモ・フォルゴーレ・プロトタイプ
マセラティ・グラントゥーリズモ・フォルゴーレ・プロトタイプ

量産版では、ドリフト・モードも追加される予定だという。だが今回は、ノートパソコンを介して呼び出す必要があった。

マセラティの技術者によれば、駆動用バッテリーがフロア下に敷き詰められていないため、現在の量産BEVとしては最も着座位置が低いという。また、主にトランスミッション・トンネル部分に集中しているため、慣性モーメントも小さくなると主張する。

回頭性を高めるため、コーナー内側のタイヤの回転速度を抑え、外側を強める、トルクベクタリング機能も働いているような印象だった。息を呑むほどの鋭いで、グラントゥーリズモ・フォルゴーレは旋回していく。

動力性能にも目をみはる。0-100km/h加速を2.7秒でこなし、最高速度は320km/hに達するとのこと。気張りすぎると、みるみる駆動用バッテリーの残量が減るとは思うが。

少なくともテールスライドは容易。穏やかに転じ、制御も難しくなかった。ステアリングホイールの操舵感も滑らかだ。

洗練された上質なグランドツアラーになるか

プロトタイプへの試乗はサーキットへ限定されていたから、乗り心地は確かめられていない。コーナーの縁石へ乗り上げた限りでは、軽くない車重のおかげで、落ち着きを失いにくい様子ではある。

穏やかな気持ちで運転すれば、車内は静か。驚くほどの動力性能を備えた、極めて洗練された上質なグランドツアラーといえそうだ。BEVだから、惚れ惚れするようなエグゾーストノートは、もちろん存在しない。

マセラティ・グラントゥーリズモ・フォルゴーレ・プロトタイプ
マセラティ・グラントゥーリズモ・フォルゴーレ・プロトタイプ

完成版のマセラティ・グラントゥーリズモ・フォルゴーレへ試乗できる日が待ち遠しい。その時に、改めて詳しくお伝えしよう。

マセラティ・グラントゥーリズモ・フォルゴーレ・プロトタイプのスペック

英国価格:19万ポンド(約3040万円/予想)
全長:4959mm
全幅:1957mm
全高:1353mm
最高速度:320km/h
0-100km/h加速:2.7秒
航続距離:450km
電費:5.4km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2260kg
パワートレイン:トリプル永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:83kWh(実容量)
最高出力:761ps(システム総合)
最大トルク:137.4kg-m(システム総合)
ギアボックス:−
急速充電能力:270kW

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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