アウディA6オールロード3.0TDI
公開 : 2012.06.28 15:01 更新 : 2017.05.29 18:18
■どんなクルマ?
新しいアウディA6オールロードの201bhpの3.0リッターV6TDIエンジンを搭載したモデルだ。3.0TDIには、セールスの大多数を記録するだろう241bhp版と、このデチューンされた201bhp版の2タイプが存在するが、これは後者である。しかし、その低いランニング・コストと、安い車両価格にもかかわらず、201bhpの3.0TDIはA6オールラウンドのセールスの7%のシェアでしかないということだ。
A6オールロード3.0TDIは、約20%という軽量化を果たしたアルミニウム・ボディとの組み合わせで、0-100km/h加速は7.5秒、最高速度は223km/h、そして16.4km/lの燃費と、159g/kmのCO2排出量を記録する。ギアボックスは7速のデュアル・クラッチが標準で、マニュアルは用意されていない。駆動方式はクアトロ・システムで、40/60のトルク配分だ。標準装備となるエア・サスペンションは、ダンピングのコントロールが可能で、速度によって最高60mmの高さ調節も行われる。
前モデルに較べて無鉄砲なルックスはトーン・ダウンしているが、これがオーナーを喜ばせることになるのかはわからない。確かに、前モデルは、馬を運搬するカーゴを牽引するにはぴったりだったが(アウディがいうには、この乗馬市場も重要なのだという)、SUV的な装飾は皆無であった。しかし、新しいオールロードは、SUVらしい装備が多数なされている。
その積載能力はアウトドア・マニア向けかもしれない。標準で565リッター、リア・シートを折りたたむことによって1680リッターの荷室が確保されるほか、ルーフ・レールは最大積載量120kgのキャパシティを持つ。更に、牽引能力はパワートレインに関係なく2500kgという能力がある。
■どんな感じ?
確かに241bhp版に比べればパワーは小さいが、それがドライバーの愉しみを少なくするかといえばそうではない。エンジンはリファインされ、フレキシビリティに富み、十分なパンチもある。45.9kg-mのピーク・トルクは1250rpmと3000rpmの間で発揮されるが、急激な加速が必要な時でも、タイムラグのようなものは感じられない。ダートムーアのテストコースのタイト・ベンドからの立ち上がりでも鋭い加速を示してくれたし、そのSトロニック・デュアル・クラッチのギアボックスのシフトタイミングも素晴らしいほど速い。
凸凹道や、スライスされダイスの目の様に切り刻まれた上に修理がされていないような道でも、例外的に乗り心地が良い。ボディ・コントールの素早く、背の高いSUVというよりも車高の低いエグゼクティブ・エステートのような印象を受けた。泥だらけやウェットな路面、そしてみすぼらしい路面であっても、速度を出すことが可能だ。標準で装備されるエア・サスペンションによる乗り心地も秀逸だ。但し、最もスポーティなモードを選択すると、その乗り心地は犠牲となる。
ステアリングのフィーリングはスタンダートなアウディA6アバントと変わるところはない。アウディ・ドライブ・セレクトは標準で装備される。補助器材の消費パワーを減らすエフィシェンシー・モードを持つのがその特徴だ。
いまさら驚くことではないが、201bhpのオールロードは、効率的ということに関してはチャンピオンだ。16.4km/lという燃費と159g/kmというCO2排出量は、241bhpモデルよりも0.5km/l、10g/km良い数値だ。このクラスのモデルでは、最も安いランニング・コストだとアウディは主張している。
■「買い」か?
このモデルを買うということは、すなわち少数派になるということだ。しかし、だからといって、少数派になることを駄目だといっているわけではない。その低いランニング・コストは非常に魅力的だ。しかし、A6オールラウンドを買うことができる層にとって、それだけでは大きな魅力にはならないのも事実だ。カンパニーカーとして考えるのであれば、それはありかもしれない。エントリー・レベルのA6オールロードは、必要と思われるすべてを備えたクルマなのだから。
(スチュアート・ミルネ)
アウディA6オールロード3.0TDI
価格 | 43,150ポンド(535万円) |
最高速度 | 223km/h |
0-100km/h加速 | 7.5秒 |
燃費 | 16.4km/l |
Co2排出量 | 159g/km |
乾燥重量 | 1855kg |
エンジン | V6 2967ccターボ・ディーゼル |
最高出力 | 201bhp/3250rpm-4500rpm |
最大トルク | 45.9kg-m/1250rpm-3000rpm |
ギアボックス | 7速デュアル・クラッチ |