ニュルでフェラーリ360を凌駕 ルノー・メガーヌ R.S.(III) 多彩なグレード 英国版中古車ガイド 

公開 : 2023.01.11 08:25

爽快なターボエンジンで楽しさ満点のホットハッチ、メガーヌ R.S.。中古車で乗る2世代目の魅力を、英国編集部がご紹介します。

ニュルのタイムはフェラーリ360を凌駕

歴史に残る名作ホットハッチを、幾つも生み出してきたルノー。3代目となるメガーヌ IIIに設定された、2世代目のメガーヌ R.S.も間違いなくその1台に数えられる。

すこぶる速く楽しいメガーヌが、グレートブリテン島や日本列島に上陸したのは2010年。人気を博した英国では、混乱するほど多くのバリエーションが次々に投入された。

ルノー・メガーヌ R.S.(III/2010〜2016年/英国仕様)
ルノー・メガーヌ R.S.(III/2010〜2016年/英国仕様)

最初にリリースされたのが、R.S.250。2.0L 4気筒ターボが250psを発揮し、2世代目の口火を切った。軽量・高性能なカップ・シャシーにリミテッドスリップ・デフが組み合わされた、R.S.250 カップも用意されている。日本市場にもカップが導入されている。

翌2011年にはR.S.265 トロフィーが登場。数字の通り最高出力は265psに上昇し、ブリヂストン・ポテンザ・タイヤを履き、サーキットとの距離を一層近づけた仕様といえた。

このメガーヌは、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェでFF量産モデルのラップレコードを更新。8分7秒97という記録は、V8エンジンを搭載した当時のフェラーリ360モデナアウディRS4を凌駕している。英国では、限定50台が販売された。

2012年にメガーヌはフェイスリフト。それに伴いR.S.も最高出力が高められ、さらに速いカップも登場した。グレードや限定モデルは多彩で、すべてを数え出すときりがない。

カップシャシーの乗り心地はハード

細かなアップデートや数字はおいておいて、2世代目のメガーヌ R.S.は運転が楽しい。オリジナルのR.S.250でも0-100km/h加速を6.1秒でこなす瞬発力を備え、回転の上昇とともに高まる勢いがドライバーの気持ちを刺激する。

本域に到達すれば、圧倒的なパワーだけでなく、聞き惚れるようなサウンドにも包まれる。グリップ力に不足はなく、ステアリングホイールの重み付けも妥当。手のひらには充分なフィードバックも伝わってくる。

ルノー・メガーヌ R.S.(III/2010〜2016年/英国仕様)
ルノー・メガーヌ R.S.(III/2010〜2016年/英国仕様)

特にカップシャシーを備えたメガーヌ R.S.の場合、乗り心地はハード。能力に長けたホットハッチとして、支払うべき代償とはいえるだろう。

2世代目で最もハードコアなグレードをお探しなら、2014年のR.S.275 トロフィーRが好適だ。オーリンズ・サスペンションが組まれた足まわりは完全にサーキット前提で、一般道では容赦ない。舗装の継ぎ接ぎを超えただけで、ドライバーは揺さぶられる。

リアシートが省かれた2シーターでもあり、少々やりすぎだと評する人もいる。だが、歴代で1番エキサイティングなホットハッチだといってもいい。

このR.S.275 トロフィーRも、ニュルブルクリンクでラップレコードを更新している。8分切りの7分54秒36で周回し、当時の量産FFモデルとして最速に躍り出た。ちなみに英国へは30台だけが導入されており、現在でも高価で取引されている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    オリバー・ヤング

    Oliver Young 

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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