ハレの場面に似合う容姿 マツダCX-60(2) 冴えない乗り心地と発進加速 長期テスト

公開 : 2023.01.15 09:45

発進加速でもたつくパワートレイン

パワートレインも余り洗練されていない。トランスミッションに内蔵された駆動用モーターとガソリンエンジンとの協働ぶりは、褒められるものとはいえないようだ。

混雑したロータリー交差点へ合流するべく加速を試みると、CX-60はもたつく。アクセルペダルの角度を推し量り、駆動用モーターだけで発進するべきか、内燃エンジンも一緒に動かすべきか、悩んでいるように感じられる。

マツダCX-60 2.5PHEV AWD タクミ(英国仕様)
マツダCX-60 2.5PHEV AWD タクミ(英国仕様)

ロータリー交差点内を回るクルマを戸惑わせないよう、充分な加速が始まるまでアクセルペダルを踏み込むと、少し遅れて必要以上に速度が高まる。適度なスタートダッシュが切れない印象だった。

EVモードにある限り、加速は予想しやすく一貫性もある。だが、走れる距離は限定的。メーターに表示される予測の航続距離を、駆動用バッテリーで走れたことはまだない。エネルギー効率については、後日改めて触れてみたい。

高速道路へ進むと、別の気になる部分が見えてくる。外界との隔離性、特にノイズだ。

試乗車は英国仕様のトップグレード、タクミで、20インチのアルミホイールを履いている。大きなホイールがフェンダーアーチに収まり、塊感のあるシルエットをカッコよく見せている。しかし、ロードノイズは小さくない。

18インチホイールのエントリーグレードと乗り比べて、走行中のノイズの違いを確かめる価値はあるだろう。サイドウォールの厚いタイヤは、低速域での乗り心地も改善させる可能性がある。

エレガントなCX-60はハレの場面に合う

結婚パーティ会場までの荷物と一緒のドライブは、快適とはいえなかった。ダンボール箱をすべて降ろし、リアシートの位置がもとに戻ったCX-60を駐車場まで運転した時は、開放された気分になったことは事実だ。

同時に、CX-60のエレガントなシルエットと上品な高級感は、結婚式というハレの場面に似合っているとも思った。特に長期テストのクルマはロジウム・ホワイトという清楚なカラーで、スタイリングを引き立てている。

マツダCX-60 2.5PHEV AWD タクミ(英国仕様)
マツダCX-60 2.5PHEV AWD タクミ(英国仕様)

SUV人気の高まりにあって、CX-60並みに見る人の心を掴むモデルは少ない。結婚式へ乗り付ける必要がある場合、容姿としては大きなマツダが適切なチョイスになることも、今回は確かめられたといえる。

テストデータ

気に入っているトコロ

カメラ映像:360度カメラによる俯瞰映像で、駐車はとても簡単。まるでふた回りくらい小さなクルマのように。

気に入らないトコロ

運転中の警告:筆者の印象では、走行中にドライバーが運転へ集中するよう、モニタリングカメラ機能が必要以上に警告してくる。基本的に無効にもできない。

テスト車について

モデル名:マツダCX-60 2.5PHEV AWD タクミ(英国仕様)
新車価格:4万9520ポンド(約822万円)
テスト車の価格:5万3370ポンド(約885万円)

テストの記録

燃費:13.4km/L
故障:なし
出費:なし

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

長期テスト マツダCX-60の前後関係

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