固体電池のハイパーカー 4モーターで最高出力1.5MW ニュル記録更新に挑戦

公開 : 2023.01.10 18:05

イタリアのエストレマ社は、固体電池セルを使用した電動ハイパーカー、フルミネアの詳細を公開しました。1.5MW(2040psに相当)の出力を誇る4基のモーターを搭載し、航続距離は520kmと予想されています。

完全電動ハイパーカー 固体電池使用

イタリアのアウトモビリ・エストレマ社は、1.5MW(1500kW、仏馬力2040psに相当)の出力を持つ電動ハイパーカー、フルミネアを完全に公開した。

同社によると、固体電池セルとウルトラキャパシタを組み合わせたハイブリッド・バッテリーパックを搭載する世界初のクルマになるという。4基の電気モーターを駆動し、0-100km/h加速は約2.0秒、0-320km/h加速は10.0秒を切ると期待されている。

エストレマ・フルミネア(Estrema Fulminea)
エストレマ・フルミネア(Estrema Fulminea)    エストレマ

エストレマ社の最高執行責任者であるロベルト・オリーボは、最高速度について明言を避けたが、350km/h程度に制限される可能性があるとした。

2023年6月に市販モデルが導入された後、今年9月にドイツのニュルブルクリンク・ノルドシュライフェで市販EVの世界記録更新に挑戦する予定だ。また、ハイパーカーの開発からニュルブルクリンクのラップレコード達成までの道のりを追ったドキュメンタリーを制作するために、クラウドファンディングを開始した。

新型フルミネアのデザインは、ハヤブサを模したリアライトなど、主に自然界からインスピレーションを受けているという。

「このデザインは、シンボルに採用した稲妻からもインスピレーションを受けています。車名の『フルミネア(Fulminea)』はイタリア語で『稲妻のように速い』という意味で、稲妻は電気、スピード、クリーンエネルギーのシンボルです」とオリーボは語っている。

搭載されるバッテリーパックは、パートナー企業のIMECAR Elektronic社と共同開発したもので、容量は100kWh、欧州WLTPサイクルでの予想航続距離は520kmとされる。パックの重量は300kgで、車両重量を1500kgに抑えている。

急速充電も特徴の1つだという。同社CEOのジャンフランコ・ピッツートは、「充電速度を可能な限り高い水準に保ちたいと考えています。当社の目標は、約15分で10%から80%に充電することです」と述べている。

フルミネアは2023年後半に発売される予定で、生産台数はわずか61台、価格は約200万ポンド(約3億2000万円)から。固体電池は、まだ市販車に広く使用されていない技術であり、大手自動車メーカー各社は電動モビリティ向けに開発を急いでいる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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