自動車メーカーを危機から救ったクルマ 38選 後編 これがなければ潰れていたかも?
公開 : 2023.01.14 19:05
スコダ・オクタヴィア(1996年)
初代オクタビアは地味なクルマだが、チェコの自動車メーカーであるスコダをニッチから主流に導いた功労車でもある。フォルクスワーゲン傘下で開発されたオクタビアは、4代目ゴルフのプラットフォームを巧みに利用し、小型車並みの価格でファミリー向けハッチバックを実現した。頑丈なボディ、広いキャビンとトランク、そしてドイツ製の兄弟車よりも優れた走りを見せ、欧州でヒットを飛ばした。
オクタビアはスコダの業績回復に大きく貢献し、広告キャンペーンでは「It’s a Skoda, honest(スコダです、ほんとに)」という粋なキャッチフレーズが用いられた。このような自身への皮肉を交えたスタンスが多くの人々に受け入れられたこともあり、2001年に登場した高性能版のオクタヴィアvRS(写真)は、ホンダ・アコード・タイプRやフォード・モンデオST220などのライバルとして真面目に受け止められるようになった。
ポルシェ・ボクスター(1996年)
ボクスターがなければ、今日のポルシェの姿も、幅広いラインナップもなかっただろう。空冷911の販売が落ち込む中、ミドエンジン、水冷のボクスターはポルシェにとってこれ以上ないほど重要な存在だった。さらに、後の996世代の911とフロントエンドを共有し、コスト削減に貢献している。
ボクスターは1970年代の914以来となるオープンモデルで、1996年の登場時にはショールームにファンが押し寄せる騒ぎとなった。初代ボクスターは約16万台を販売し、ポルシェの財政を潤すとともに、多くのドライバーをポルシェに招き入れた。2.5Lの初期モデルはややパワー不足との指摘を受けたが、すぐに大型のエンジンが投入され、8年の生涯を通じて関心を集め続けた。
ロータス・エリーゼ(1996年)
迷ったときは基本原則に立ち返るということを教えてくれたのが、ロータスの初代エリーゼだ。マツダ・ロードスターを打ち負かそうとしたロータスは、ブランドのルーツに立ち返り、セブンを現代的なビジョンで作り上げた。初代エリーゼの車重はわずか731kgで、その軽量ゆえに、約120psのローバーKシリーズ・エンジンでも運転の喜びと速さを味わうことができた。
その後、エキシージや希少な340Rなど、より速さを追求したモデルが登場し、販売台数を伸ばしていった。初代エリーゼの本質的な魅力が、幅広い層のドライバーを惹きつけ、ロータスを崖っぷちから救い出したと言える。エリーゼは1万619台を売り上げ、同じシャシーをベースにしたモデルも販売されたことでロータスを黒字に転換させ、名を上げたのだ。
画像 会社を救ったヒーロー的なクルマたち【TVRキミーラやフェラーリF355、ランボルギーニ・ガヤルドなどを写真で見る】 全114枚