自動車メーカーを危機から救ったクルマ 38選 後編 これがなければ潰れていたかも?

公開 : 2023.01.14 19:05

シボレーカマロ(2009年)

世界的な不況は、米国の自動車産業に大きな打撃を与え、ゼネラルモーターズも壊滅的な状況に追い込まれた。しかし、社長のリック・ワゴナーは、そんな苦境にあっても新型シボレー・カマロには強気で、実際に発売前に1万4000台の予約が入っていた。

シボレーはマッスルカー・シーンに遅れをとっていたが、カマロはレトロスタイルを備える、時代にマッチした新型車だ。開発は、この種のクルマの経験豊富なオーストラリアのホールデン部門が行い、走りも優れている。V8モデルだけでなく、V6モデルもあり、低いランニングコストとルックスで多くの人々を魅了した。

シボレー・カマロ(2009年)
シボレー・カマロ(2009年)

テスラモデルS(2012年)

米国の新興企業テスラが満を持して投入したロードスターは、ロータス・エリーゼをベースに開発された電動オープンモデルであったが、消費者の意欲を高めることはできず、商業的にも失敗してしまった。このため、テスラは方向性を根本的に転換し、数回の延期を経て、2012年にモデルSを発表した。

モデルSは、メルセデス・ベンツアウディなどの高級セダンと比較されるようになり、テスラという社名を世界に知らしめた。1回の充電で長く走ることができ、EV所有の悩みの種である航続距離への不安を大きく軽減している。

テスラ・モデルS(2012年)
テスラ・モデルS(2012年)

モデルSの成功の要因の1つは、テスラが充電インフラを自前で用意したことである。充電時間や充電場所に対する消費者の不安を取り除くために、「スーパーチャージャー」の整備に着手したのだ。このようなアプローチがなければ、テスラは今日のような勢力を持つことはなかっただろう。そして、自動車業界全体の姿も大きく変わっていたはずだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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